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ハルノヒザシ

ピッ、ゴロゴロ、ガシャン。
自動販売機からジュースが転がり出る音。
ひょいと望月先輩がかかんで、取り出し口からジュースを取り出した。
風呂上がりにジュースを買いに来た所に、窓に掴まりながらジタバタしている俺に遭遇した、とのことだったらしい。
俺からはちょうど自動販売機の影の死角に入っていて、望月先輩には気づかなかったみたい。
今度から、気をつけねばっていやいや、もうしないようにしなければ。
「前田もなんかのむ?」
「え、いや、いいです」
滅相もない!とぼんやり考え事をしていた俺は、突然話しかけられ、オーバーリアクション気味にぶんぶんと首を振る。
「じゃあ、俺コーラ」
「お前には聞いてねーよ」
「いいじゃん。ついでついで」
「あ、こら」
千円札を入れ、まだおつりを取っていない隙に平野先輩がボタンを押したため、ガシャンともう一つ転がり出るジュース。
やりー、と呟きながら平野先輩が嬉しそうに椅子に座りジュースを飲み始める。
さっさと立ち去る訳にも行かない俺は、ぼんやりとその光景を眺めていた。
ガシャン、と後ろでもう一度自動販売機のなる音がする。

ピト…
「ひゃあ!?」
いきなり首に押し当てられた冷たい何か。
思わずすっとんきょうな声を上げながら振り返る。
「ほら、いーから飲め」
望月先輩が差し出してくれたレモンジュース。
そう言えば走って喉が乾いていた。

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