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ハルノヒザシ

(落ちるっ!!)
再度掴まろうと思った手は空しく中をかき、俺はぎゅっと目をつぶった。
だが次の瞬間
パシッと誰かの手が俺の手首を掴み、俺はすんでのところで体制を建て直す。
(た、す、かった…)
思わず、はぁっとため息をつく俺。
危うく後頭部から地面に落下するところだった。
(よかった、よかった……、ん?ところで…)
俺の腕を掴んでいる、この人はだれ!!!
一難去ってまた一難。
門限を破ってこっそり帰って来たところを思いっきり誰かに見つかって、そしてこともあろうに助けてもらっている。
(ヤバイ!?だれ?この人)
人によっては大問題なこの状況。
肝心な顔は、暗いロビーにある非常灯と自動販売機の灯りで逆行になってしまって見えない。
軽くパニックになり始めた俺を知ってか知らずか、その手の主はゆっくりと力をこめ俺を窓枠に引っ張り上げる。
その人の為すがまま、俺はどうにか寮の中へと入ることができた。
「あ…、ありがとうごさいました…」
うつむいたまま、ペコリと俺はその人に頭を下げる。
顔が上げられないまま、ちらりとその人の足元の上履きを見ると、うわ、三年だ…、本当にどうしよう…。
この人黙ってるし…。
沈黙のまま気まずい時間が流れる。
(どうしよう、顔上げた方がいいかな…)
そう観念した俺が恐る恐る頭を上げようとした時
ガシッ、と強い力で首根っこを押さえつけられた。
ビクッと俺の全身が恐怖のあまり震える。

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