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ハルノヒザシ

(やっ、と、ついた…、10時、四分か…)
はぁはぁと息を切らせながら携帯を見ると、奮闘むなしく既に門限は過ぎ去った後だった。
当たり前にロビーの電気は消えている。
(うーん。どうしよう。多分玄関の鍵は開いてるだろうけど…)
玄関からは直線にずっと廊下が続いているため、目撃される確率が非常に高い。
まだ、廊下には人が居る時間帯だし…。
(よし!仕方ない。自動販売機前の窓が空いてたらそこから、開いてなかったら風呂の裏の階段の窓から入ろう)
じーっと暗くなったロビーの中を見ながら作戦をたてる。
いつだったか、三好と門限時間外に外に出たことを思い出しつつ…。
あの時は大変だったな。だから、また見つかることは避けたい。
そう思いながらぐるりと反対側の窓を目指して歩き始めた。
(よし、ここだ!)
すぐに目的窓の下に着いた俺は、あの時の三好がやったようにスマートには行かないが、どうにか窓枠に飛び付いた。
閉まっているカーテン越しに、慎重に中に人が居ないか窺う。
(ラッキー!人居ないし、窓も開いてる!)
この隙に!と、カラカラと窓を響かないように静かに開け、中側窓の枠を掴みそのまま身体を引っ張りこもうとするが、窓が以外に高い場所にあるため自分の身体を腕の力だけで支えなければならず、中々難しい。
(う、わ、ちょっと無理かも…)
前に三好は軽々とやっていたことなのに…。
やっぱ三好はすごいな、と違うことを一瞬考えた瞬間
ズルっ…
(!!!)
窓枠を掴んでいた手が、汗で滑った。
ぐらり、と支えを失った身体か後ろに傾く。

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