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ハルノヒザシ
暗いところで鉢合わせ
(はぁ、はぁ、はぁっ……)
午後9時58分。
俺はグラウンドを必死で走っていた。
とっくに部活も終わり人影の無いグラウンド。
辺りは脇に数メートルおきを申し訳程度に照らす足元の光だけで、かなり足元がおぼつかないがそれでも俺は必死で走り続ける。
この頃昼間はかなり気温が上がるようになったが、まだまだ涼しい初夏の夜の風を全身に受けながら。
(ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ…)
走りながら、携帯を見ると既に59分を30秒ほど回っている。
かといって目的地である寮の灯りはまだまだ遠く、とても門限である10時には間に合いそうにない。
(うー、ついついドレ達の相手してるのが楽しくて遅くなっちゃった)
さっきまで管理人さんの家に居た俺は、帰りがけについつい管理人達が買っている犬達門限の時間を忘れて遊んでしまった。
そして、今に至る。
(うー足がもう駄目だー)
無駄に広い校庭を全速力のまま突っ切れる体力など俺にあるはずもない。
(でも、門限破ってあの風紀委員長に怒られるのは…)
もっと駄目だー!と俺は止まりそうになる足を叱咤しながら夜の校庭を一人、走り続けた。

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あきゅろす。
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