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ハルノヒザシ

「んじゃ、行こうか」
何事もなかったような顔をして三好が歩きだす。
ついていけない…。
「つーかお前スゲーな。思いっきりぶちギレてたぞ。あの先輩」
「いーの、いーの。人助けだし。アイツ遊び人で有名だし。ハハっ、つーか猫騙しで逃げられるなんて思わなかったな」
あの時の乾いた音は猫騙しをかました音だったらしい。そんなことやってたのかよ。
「しかし、前田結構足早いんだなー」
まぁ痩せてるし、多分早いだろうと思って逃げる事にしたんだけどさと三好は言う。
何だ、俺が遅かったらどうしてたつもりなんだよ。
「50のタイム幾つ?多分俺より早いだろ」
「一応、六秒幾つかだった気がする…」
走って体温が上がったせいか三好は何時もよりテンションが高い。
現金な奴だなコイツ。

「おせーぞ。お前、何処に行ってた?」
教室に帰ると既に担任とクラスの皆がスタンバイ。
「保健委員の仕事をしてました」
いけしゃあしゃあと三好が答える。まぁ間違ってはいないんだけどさ。
俺もペコリと一礼して席に戻る。
今日はこれで授業は終わり。昨日はいきなり平常授業だったくせに随分とムラがある学校だ。

「帰ろうぜ」
三好の言葉に俺は頷き立ち上がる。
今日の昼飯は何にしよう。魚や肉がないからバリエーションが少ないんだよな。まぁもう少しの辛抱だ。
二人で生徒玄関の方に向かって歩くといきなり三好が立ち止まった。
視線の向こうにはさっきの彼。
生徒玄関で張り込んでいたのか。ご苦労な事です。

「ふふ、テメーら只で済むと思ってないだろうなぁ?」

ちょちょちょテメーら?!
もしかして俺も入ってる!?

「行くぞ!」
叫び声と共に三好が身を翻す。 やれやれ、俺腹が減ってるのに。

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