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ハルノヒザシ

「えーいいんですかぁー!春ちゃん先輩!」
「うん、くるみちゃんに似合いそうだから」
「えぇーそんなー!!」
中学寮に響く三者三様の声。
昼飯を食べ終わり、夏が剣道着を破いてしまったと言うので夏の部屋までに繕いに行く途中でくるみちゃんと会い、俺がくるみちゃんにある物を渡した時の声だ。

両端に真っ赤なボンボンがついた飾りゴム。

昔夏に俺が作ってやったものだ。
引っ越しのどさくさで俺の荷物に混じってしまったらしく荷物を整理してたら見つけてしまった。
もう夏は髪短いし、まぁ長かったとしても似合わないだろうし、でも捨てるのもったいないし…
ということでくるみちゃんにあげることにしたのだ。
くるみちゃんよく、可愛いゴムで前髪アップにしてるから嫌いじゃないかな、と思って。
「わー可愛い!嬉しい〜!ありがとうございます!はるちゃん先輩!大事にしますね」
「いえいえ、どういたしまして」
目をキラキラさせて喜ぶくるみちゃん。
こんなに喜んでくれて俺も嬉しい。
「えーあげちゃうの…兄貴。しかもコイツに」
「夏にはもう必要ないだろ」
「でも…」
流石にくるみちゃんの前で俺のゴム、とは言わないが不満たらたらの未練たらたらの夏。
「じゃあ、またね。くるみちゃん」
俺はこれ以上夏とくるみちゃんをくっつけておくのは危険と判断し、夏の背を押しながら歩き始めた。

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あきゅろす。
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