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ハルノヒザシ

「そー言えばさ、兄貴」
「何?」
暫くテスト用紙を見つめていた夏が、唐突に口を開く。
「こんな、約束、覚えてる?」
「?」
ひらひらとテストを見せながら夏が言う。
ん?何か約束…?したっけ。
俺は夏のいたずらっ子のような目を見ながら、必死で思いだそうとするが思い出せない。
「ほらー、俺がテストで百点取れたら兄貴が何でも俺のお願い一つ聞いてくれる、ってやつ」
「ああ…」
あったね、そういうの。
夏、小学生の頃はよく百点とってたもんな。
中学生になったあたりからいつの間にか自然消滅しちゃって忘れてたけど。
ちなみに、このテストの時は夕飯にハンバーグ作ってあげたっけな。
「あの約束って、今でも生きてんの?」
「ああ、いいよ」
「マジで!!」
途端に夏がパッと顔を輝かせた。
小学生のテストとは訳が違うと思うから、90点以上でもいいよ、とも言おうと思ったが既に夏がめっちゃ喜んでいるので水をささないでおく。
そういや、明日からテスト週間だもんな。
俺も頑張んないと。特に数学…
「っしゃあー!俄然やる気出てきた!」
全教科満点取ってやる!とガッツポーズを決めながら叫ぶ夏。
何をさせるきでいるんだろう。
(全教科満点か、夏ならやりかねないな…、なんだかんだで頭良いし、努力家だし)
そんな狂喜っぷりを見ながら、俺は安請け合いしちゃったかな?と少しだけ不安になった。


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