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ハルノヒザシ

ひとしきりアルバムを見ながら三好と夏をからかっていると
「もー止めてよ!!」
と、夏にアルバムを取り上げられてしまった。
あー、次は文集のページにいこうと思ってたのに!
ま、また後で見ればいっか。そろそろお腹も空いてきたし。
はい、と夏にアルバムのケースを渡し、きりがいい所までやってしまおうと段ボールに向きなおる。
「全く、兄貴は…」
ブツブツ言いながらアルバムをケースにしまうの夏の気配。
「ん、弟くん。なんか落ちたぞ」
「ぇ、なんすか」
「ん?」
気になって振り返ると、三好が腰を屈めて拾い上げたのは二つ折りになった紙。
少々日焼けて黄ばんでいる所に年代を感じさせる。
あ…、それは…
何だろう、と夏が受け取り、紙を開く。
「…っつ!これは…」
びっくりしたような夏の声。
「なんでこんなもんまでとってあるんだよ!」
「なんかどうしても捨てれなくて」
それは
夏が小3の頃初めてとった満点のテスト用紙。
何てことはない簡単な算数のテストだけど
すごく嬉しそうな顔をしながら、俺にテストを見せた夏の顔が忘れられなくて
ついついとっておいてしまったものだ。

「なんつーか普段弟くんのことブラコンだブラコンだ言ってるけど…、前田も充分兄馬鹿だよな」
三好がボソリと呟いた。



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あきゅろす。
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