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ハルノヒザシ

階段を登り、カツカツと静かに歩いているとふとある教室から声が聞こえた気がして立ち止まる。
助けて、確かにそう聞こえた気がした。
無言で三好の方を見ると三好も気付いているらしくその教室を睨んでいる。
「みよ…」
話しかけようとする俺を手で制し、三好は音もなくその教室の前に立った。
ガラリと勢いよく教室の扉を開ける。

一瞬の静寂。

次の瞬間着衣を乱れさせた小柄な男の子が三好の横から教室を飛び出して来た。
「ちょっ、君?」
俺が声をかけるのも無視してあっという間に走り去ってしまう。
三好の身体で教室の中が見えなかった俺は中で何が起こっていたのかわからず、その背中をぼーぜんと見送る。
えっ何、今の?

「行くぞ」
三好が何事もなかったかのように身を翻し、俺の手を引いて立ち去ろうした時

「ちょっと待てよ」
教室の中から一人の人物が現れ、三好の肩を掴んだ。

赤みが強い茶色の髪。
エクステでも付けているのかかなり髪の後ろの方が長い。
今まで何をしていたんだかシャツのボタンは全開だ。
「お前のせいでせっかくお楽しみ中だったのに逃げられちまったじゃねぇか。責任とれよ」
低い脅すような声で三好にエクステは言う。
どうやら俺は眼中にないらしい。
さりげなく三好に手を離される。
「はぁ?何言ってんの?ゴーカンなんて恰好悪いことこの上ないぜ。しかも逃げられたとか、どんだけ間抜けなんだよ」
三好が臆すことなく淡々と言う。
スゲーな。俺にもその勇気と度胸分けて欲しい。ちょっと気になるワードが混じってたけど。
ということはつまりはそういう事なんだよね。さっきの…。

でも三好、そんな事を言うとホラ、エクステさんがマジギレ寸前ですよ。

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