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ハルノヒザシ
10・(三好視点)
「さて…と…」
ガチャガチャと洗い物を終え、時計を見るとまた九時にもなっていない。
(コーヒーでも煎れて本を読もう)
そう思いたちポットに手を伸ばす。手早くインスタントコーヒーを煎れ一口すすった時部屋のドアがダンダンと叩かれた。
(何だ?)
とりあえずシカトすると後が面倒臭くなりそうなので出ることにする。

『すいませーん、風紀委員会ですがー』
その呼びかけに仕方なく扉を開く。
目の前に立っていたのはさっきの副委員長とうちのクラスの風紀委員。ニコニコと愛想よく笑う顔が嫌いだ。
「何の用だ」
自分のテリトリーになるべくなら俺は踏み込ませたくない。
「こんばんわー、今何か寮に盗聴機が付いてるらしくて、ちょっと調べさせてもらうよ」
仕方なく俺がドアを開けるとズカズカと二人は入りこんで来る。
盗聴機…、ねぇ。
「ちゃいますよ、先輩!スイッチはこっちです」
「えっ?どれ?ここ?」
部屋の入口で二人がなにかの機械を持って言い荒らそっていた。
ふうん。あの機械で検査するってか?
俺は二人の横をすり抜けテーブルに座りながら高みの見物をきめこむ事にした。
「ちょっ、そんな無茶やったら壊れてしまいますよ先輩」
「え、これでいいんじゃないの?」
「ちゃいます。回す報告が逆です」
うちのクラスの風紀委員、確か二条とか言った気がするが、ソイツは関西弁なので下手な漫才を見てる気分だ。
つーか、機械使えないんじゃ駄目じゃん。何しに来てんだ。

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あきゅろす。
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