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ハルノヒザシ

「あ、本当だ!前田さんじゃねぇっすか。お久しぶりっす」
今日のリレー見てましたよ〜、足速いっすね〜。
そんな西崎君の明るい声に俺はハッとショックから立ち直る。
ヤバいっ!こんな態度に出しちゃ駄目だろ!俺っ!
「一位でしたよね!先輩達のクラス。おめでとうございます〜」
「あ、ありがとう。いや、みんなのおかげなんだけどね」
どうにかこうにか平静を装うと、俺はニコッと笑いながら西崎君に答える。
いつでも逃げれるように全神経を集中させたまま…。
「本当におめでとうございます。ところで前田先輩、体育倉庫に何かご用時ですか?」
「あ…、うん。俺達のクラスのゼッケン取りに来たんだ」
淡々とした口調で話す白河君。
ただ彼と話しているだけなのにつーッと背中に嫌な汗が伝うのがわかる。
「そうですか。では最後に体育倉庫の鍵閉めをお願いしてもよろしいですか?」
「うん。わかった…」
「すみません。お願いします」
そう言いながら一歩俺に近づいて来る白河君に、俺の身体は一瞬だけびくりと反応してしまった。
そんな俺に気付いているのかいないのか。
軽く会釈をしながら俺に鍵を手渡すと、何事もなかったように白河君は校舎に向かって歩いて行ってしまう。
「あ、おいこら待てよ!涼!!じゃお願いしますね、前田さん。あと、これリレーのお祝いです。では!」
俺の鍵を持っていない方に何やら握らせた後、その後を追って行く西崎君。

(き、緊張した…)
そんな二人をしばらくぼんやりと見送った後、俺はようやく体育倉庫の中へと入った。


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