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ハルノヒザシ

(おっ、良かった。まだ開いてるや)
目をこらして校庭の一番向こうにある体育倉庫の扉が開いているのを確認し、てくてくと無駄に広い校庭を歩き始めた。
体育祭が終わった後の校庭はすっかり人影もまばらで、歩いているとなんとなくあの熱気が懐かしくなってくる。
(いい体育祭だったな)
最初はあんなに嫌がっていた体育祭だが、終わってみれば少々寂しい。
あんなに真面目にリレー走ったのなんか久しぶりだしね。
もう誰も走っていないリレーのトラック上を歩きながら、しみじみとそんな事を思う。
(音羽と三好はマジで面白かったし!)
リレーの表彰が終わった後、当然のように三好を陸上部に勧誘し始めた音羽を思い出しながら、俺は一人でクスリと思い出し笑いをしてしまう。
『三好ー、お前のその走りに惚れた!ぜひ陸上部に入ってくれ!』
『いや、ありがたいけど俺は…』
『お願い!三好!お願いー!』
そう言いながら追いかけてくる音羽から、逃げ惑う三好の困惑っぷりが面白かったなー。
リレー終わったのにずっと走り回ってたし。
『さっきの感動がぶち壊しやな』
そんな二人を見ながら二条は冷静に突っ込んでるし。ぼやーとそんなことを考えながら歩いていると、体育倉庫から人影が出て来るのが見えた。
(あ、やべ。なんか戸締まりしようとしてる)
ちょっと待ってー、と急いで俺は走り出す。

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