ハルノヒザシ
7
「ネクタイ締められないの?ちょ、貸してみ」
ニコニコと笑いながら声をかけられ俺はどうしたもんかと迷った。
まぁ悩んだ所で仕方ないと思い、頷きながらネクタイを渡す。
「ネクタイ結べないなんて、お前かわいいなー」
俺のネクタイを受け取るとそんな事をいいながら、その男は後ろからいきなり俺をだきよせた。
「ちょっ、えっ? 」
昨日望月先輩に言われた気をつけろと言う言葉が頭の中にフラッシュバックし思わず俺は身を固くする。
「何もしないよ。俺も自分のネクタイしか締められないからさ」
そんなことを言いながら後ろから抱きしめるような恰好で俺のネクタイを結び始める。
俺は夏以外にこんなことをしてくる人は始めてで正直パニクっていた。夏もかなり背が高いがこの人はそれより背が高い。180は間違いなくあるんだろうな。
「ほら、出来た」
その声に顔を上げると後ろの男と鏡の中で目が合った。
普通に整った顔。共学行けばさぞモテるだろう。
「あっありがとうございました。じゃあ…」
「おぅ、またなー」
これ以上居ても何を話していいかわからないので、俺はそそくさと身を離し、ペコペコとお礼を言いながら退散することにした。
親切な人だけど…ちょっとびっくりした。免疫が無いからか…?
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