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ハルノヒザシ
12・(三好視点)
前田が黙っている。
何を考えているかわからないが、俺ははっきり言って気まずい。
だって、ほら、ねぇ?わかるだろ。
何だって俺が前田の前でわざわざこんなことを説明しなきゃなんねぇんだ。
風間も余計なことをしてくれる。
俺はつい出そうになった溜め息を隠すように、冷めかけたコーヒーを一気に喉に流し込んだ。
また再び本に目を落とすが、どこまで読んだか忘れてしまった。
内容もほとんど頭に入らない。
それにしても、近親相姦ね…。
弟君には最高の挑発文句だったろう。現に、風間は腕を折られたみたいだし。
ま、仕方ない。弟君がそこまでやりたいとは思っていなかったとしても、明らかな侮辱には違いないのだから。
怒ったってことは弟君も自覚があるんだろうしな。この頃来ない訳だわ。
「ね、三好!じゃあさ、結婚詐偽は?」
そんなことを考えていると、突然前田が口を開く。
はっ?ちょっと。いきなり何?意味も何を聞いているのかも全くわからないんだけど。
「…結婚詐偽は犯罪だろ」
「あーそうだねー」
うんうんと一人で勝手に納得する前田。
俺の勝手な憶測とは裏腹に、全然違うことを考えていたみたいだ。
そんな所は、前田らしいっちゃ、前田らしい。余計なことを考えないというか…。つーかそういう思考そのものが無いんだろうな。多分。

まぁ、タブーだろうが、なんだろうが、好きにすればいいさ。こんなんは突き詰めれば、結局は当人達で解決出来る問題だ。
それに、あんなにブラコンな弟君なら、前田の意思をちゃんと尊重してやると信じてるから、さ。

だろう、弟君。

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