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ハルノヒザシ

「久しぶりですねー。うっわー、びっくりー!!」
相変わらず可愛いっすよ!っと軽くウインクしながら言うくるみちゃん。
いつものように明るく笑ったまま。
「久しぶり…。どうしたの?その腕」
だが、夏服となり半袖となった白いシャツから伸びるくるみちゃんの右腕は、白い三角巾で吊られていた。
僅かに白い包帯が覗いている。
「これっすかー。ドメスティックバイオレンスですー。いや、俺の片思いだから違うのかな?ま、ちょっとある人と話してたら怒らせましてねー」
そう言いながら、くるみちゃんはぽんぽんと軽く包帯に巻かれて右腕を叩く。
ドメスティックバイオレンス?DV?家庭内暴力だっけ?でも、 ここ寮だしな…。しかし怒って腕を折るとは怖い人もいたもんだ。
「そう…。大丈夫?」
「大丈夫っすー。もう少しで外してもいいらしいしー」
「右利き腕?」
「いーえ。俺は便利な両利きなんで。つーか骨折なんて日常茶飯事ですし…。あぁ、はるちゃん先輩ストップ、ストップ」
スタスタと段ボールを運びながら、くるみちゃんに近づいて行くと、 残り二メートルぐらいの場所で何故かくるみちゃんからストップがかけられて俺は思わず立ち止まった。
「くるみちゃん…?」
「ああ、そんな顔しないで下さいよ。失礼なのはわかってますけど…」
いや、失礼なのはどうでもいいんだけど…。
本棚が…。
俺は次の行動をどうしたらいいかわからず、窓に座ったままのくるみちゃんを見つめる。
「でも駄目なんです。残念ながら今、俺ははるちゃん先輩に近づいちゃ…」

とりあえず、この怪我が治るまではね。



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