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ハルノヒザシ

「んと、確かにこっちをここに通して…」
鏡の前でネクタイと格闘する事数分。
全くネクタイは結べない。うん、正直ネクタイを舐めてたよ。俺…。
何でネクタイは結べないだろ。かなり手先は器用なのに。
「どうしよう、三好呼んでこようか」
後一回やってできなかったらそうしようと俺は再度自分の首に絡まったネクタイを外す。
その時、トイレのドアが開いた音が聞こえた。
入って来たのはかなり長身の男。ブレザーは着ずに、カーディガンだけ。ダークブラウンの髪をちょっとワックスで持ち上げている。
ネクタイしてないから何年かわからないけど、今入って来るって事は二年かしら?
その人は俺の隣に並びピアスなどを外し始めた。
やっぱこの人も服装点検あるから来たんだろうなーと思いながら俺は再度ネクタイに挑戦するがやっぱし駄目でがっくりと肩を落とす。
(仕方ない、迷惑だけど三好にやって貰おう…)
とぼとぼと鏡の前から離れるといつから見ていたのだろう、隣で長身の男が吹き出した。

思わず俺は反射的に振り返ると、その男と目が合った。
ニコッと笑いかけられ、思わず愛想笑いを返す。

なんなんだろ、この人。いや、おかしかったのは充分に認めるけどさ。


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あきゅろす。
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