ハルノヒザシ
5
「魂抜かれたような顔してんぞ、お前」
「あーうん。なんか精神的に凄く疲れた」
気がつくとクラスの殆どが教室に戻って来ており、みんな揃って風紀委員長と夏にど肝を抜かれた表情をしていたが、三好は一人平然として、弁当を片付けている。
「これ俺が持って帰って洗うから。ごちそうさまでした。」
「あ、あぁ。ありがとう」
ぼーっとしながら俺は答える。
疲れた、マジで疲れた。
その時五時間め開始のチャイムが流れた。
なっ長かった。昼休みが…。
入ってきた数学の先生を見ながら俺はホッとする。
そのまま五時間、六時間めと何事もなく授業は終了した。
「あーやっと終わったよ」
やれやれ、と後ろを振り向きながら三好に言うと何故か三好はさっきまで締めていなかったはずのネクタイを締めていた。あっやべー。
忘れてた。服装点検があるんだっけ。しかも風紀委員の。
これ以上風紀委員長に顔を覚えられるのはごめんだ。
「まだ始まらないよな、多分」
「ああ、多分。何ネクタイ締めに行くのか?大丈夫?」
「うん、多分。ちょっと行って来るー」
俺はネクタイをひっつかみ近くのトイレへと駆け込んだ。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!