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ハルノヒザシ
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ぽかんとした前田の表情。
俺の顔と右肩の跡を見比べたあと、困ったように視線を泳がす。
困るのも当たり前だ。こんなん見せつけられてもしょうがない。

じゃあ、なぜわざわざ俺は前田を困らせるようなことをしているのだろう?
なんでわざわざ前田にあんなことを言ったのだろう?
ここはお互い干渉しては行けない部分なはずなのに。
なんでわざわざ俺は踏みこんでいるのだろう?

それは恐らく俺が臆病だから。
俺が勝手に怖じけついたから。

過去を知られることでこの関係が砕けてしまうのならば、自らの手で砕いてしまいたい。
他人の口からではなく、俺の口から話すことで。
卑怯な俺はそう思う。

俺はそのままゆっくりと前田に歩みよって行く。
「三好、俺…い…」
「いいなんて言わないでさ。見てよ。前田。前はこんなんだけど後ろは比較的残ってるでしょ」
後ろは手が届かなかったからね、と続ける俺の声は意外にも明るくて。
多分顔には笑みが張り付いていて。
自らの本心を精一杯繕っていた。

「実は俺結構気に入ってたんだよ。前は。これ、なんだと思う?」
「わかん、ない…」
明るい俺の声とは対称的に怯えて、小さな前田の声。

本当は前田にすごく拒絶されるのが怖いのに
俺の声色は呆れるくらいに上手くその感情を隠していて
そんな自分ますます愚かでしょうがなくて

俺は更に笑ってしまう。



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あきゅろす。
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