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ハルノヒザシ

現れたたのはスラッとした細身の人だった。
そのキッチリと締められたネクタイの色で三年生だとわかる。
ハーフかクォーターだろうか?日本人離れした美貌に薄い色素。こんな美人は女の子でもなかなかいないだろう。
「そこの君」
思わぬ美人の登場にぼーっとしていると、美人の先輩はよく通る声で話ながら夏の方に近付いて行く。
夏の方を見るとおにぎりを食べながら、一瞬驚いたような表情を浮かべたもののすぐに不敵な表情を浮かべて美人先輩と対峙する。
あー何でそうやって挑発するような表情をするんだ、夏の馬鹿。
「君は中学生だろ。高校棟の方に来るのは校則違反だ。早急に戻って貰おう。もう昼休みも終わる」
「なんすか?いきなりやって来て。言われなくても昼休み終わるまでに戻りますよ。つーか誰?」
あああー、そういう言い方は止めろー夏! 後半敬語も使ってないぞ。
俺は横でハラハラドキドキもんだ。
「言葉遣いに気をつけたまえ。私は木花咲邪。一応風紀委員長を勤めている」
木花先輩か…って、えー風紀委員長。マジかよ!
「へぇ、風紀委員長サンですか。わざわざ委員長が俺一人にご苦労な事っすね」
「これだけじゃないことは君がよく知っているだろう。さっき一年の廊下で掴み合いの喧嘩をしそうだったのは、何処のどいつだ。呼ばれてみればもう喧嘩の相手はいないし…」
「ちゃいますよ。俺は挨拶の仕方を教えて貰おうとしてたんですよ。こう、後輩と先輩の触れ合いつーか?」
木花委員長の口から語られる新たな真実に俺は驚愕する。
夏、お前初日から何してんだ!
睨みつけるとその視線に気付いたようにヘラリと笑い言い訳を始める夏。あぁ頭が痛い。
「とにかく減点8。10で反省文提出。20で罰則だ。来い、中学棟に引き渡すから」
「ハイハイ。んじゃ兄貴またねー」
不敵な態度を崩さないまま夏が立ち上がりおにぎりの残りをパクつきながら木花先輩の後を付いて行く。
「夏!今度は会いたかったら寮に来いよ!部屋は333号室だから」
「了解ー、何か作ってねー。」 思わず声をかけると夏はニコッと笑いながら振り向く。
なんつーか変わらないんだけどな。

スタスタと二人が去っていってしまうとなんとなく放心状態が俺を襲って来る。
今まで夏がいた俺の席に戻るとお弁当がペロりと平らげてあるのが目についた。

俺一個しか食べてないのに。

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