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ハルノヒザシ

「あれ、シャンプーとかも持ってくの?」
「俺、他の使うの嫌だから」
十時になり、俺と三好は部屋を出て大浴場へと向かう。
普段は全く踏み込まない一階の階段から奥。
そこには入学してから一ヶ月以上たってから初めて行く大浴場がある。
「あー本当だ。今清掃中の札がかかってる」
「だろ?まぁ違うんだけどな」
これがかかってれば皆入って来ないし。
そう言いながら三好がガラガラと大浴場の扉を開けた。
わー、すげー広い脱衣所だなー。確かに人がいないし。
もの珍しくて靴を脱ぎながら思わず俺はキョロキョロしてしまう。
温泉も銭湯もずっと行った事が無い俺は見るもの全てが新鮮だ。
「おい、前田はしゃぐのもいいけどな…」
「何、みよっ痛っ!!」
突然後ろから三好に呼ばれ、振り返った途端に濡れた床で滑って転んでしまう。
「…床が濡れてるから気をつけろよ」
転んだ俺の顔を覗き込みながら言う三好。
言うの遅いよ…。
「ああ、これから気をつけますよ」
「そうしろ、ほら」
三好が差し出してくれた手を掴み起き上がる。
いやはや、風呂に入る前に濡れてしまった…。
結構脱衣所の床って濡れてるんだな…。
スタスタと歩いて行く三好の背中を追いながらくだらない事にしみじみと感心してしまう。

あ、体重計がある。後で計ろう。
そんな事を思いながらさっさと服を脱ぎ始める三好の横のロッカーに荷物をほおりこみ、俺も服を脱ぎ始めた。

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あきゅろす。
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