ハルノヒザシ 初めての×× 「なー前田ー?」 「なに?」 新しい週が始まった月曜日。 学校から帰って来て夕食を食べ終わり、俺がシャワーを浴びようとクローゼットから服を引っ張り出した時だった。 後ろから俺を呼ぶ三好の声。 「あのさー、嫌だったらいいんだけど…」 振り替えると、言いにくそうに話し出す三好。 何だろう。 「俺さ、今日風呂行こうと思ってんだ。一緒に行かね?」 …ああ、風呂、かぁ…。 「あのさ、今日はさ点検日で十時に締め切るんだよ。んで、完全に人が消える訳」 俺が無意識に微妙な顔をしたのだろう、慌てて三好が言い足し始める。 そうしたら普通は入っちゃいけないんだけどさ、点検が十一時に始まるからその前に入っていいか?って聞いたらいい、つうから俺いつも点検日だけは風呂に行くんだよね。 絶対人来ねえし。んで、前田も良かったら…。 一緒に行かないか? 「あ、悪い。別に行きたく無いんだったらいいんだ」 ポカンして服を持ったまま何も言わない俺を見て、三好がフォローを入れて来た。 じーっとそんな三好を見つめ返す。 大浴場かぁ…。いったことないしなー。 行きたいな。温泉も銭湯も忘れくらいに行って無いし。それに、せっかく誘ってくれたんだし。 「行くよ!俺も」 俺はこっくり頷きながら、一言そう言った。 [次へ#] [戻る] |