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ハルノヒザシ

「な、な、なつ…」
何で来たんだよ!とかいいのか?来ても?とか聞きたい事は沢山あるのだがショックで余り言葉が出てこない。
いつも心臓に悪い事をしでかすんだよ、この弟は。廊下から覗かれてる視線を感じるし…。
「やっぱ、俺兄貴が居ないと駄目だよ。ショックでもうやつれちゃって、やつれちゃって」
冗談を言いながら夏が何時ものように抱きついて来る。
全然やつれてるようには見えないんですけど。むしろショックで俺は倒れそうだ。ギューと夏の胸に顔を押し付けられて呼吸困難気味だし。
「こんちわ、三好先輩。羨ましいしい限りっす。ずっと兄貴と居られるなんて」
「羨ましいか?俺は毎日前田の手料理食わせてもらってるぞ」
いつの間に打ち解けたのか夏と前田が親しげに話している。
つーか離してくれ、夏。ホントに息が出来ない。
「つーか、前田離してやれよ、弟君。死にそうだぞ」
ぐったりしている俺をみかねて三好が助け舟を出して来る。
「あーやべー。俺のあまりの愛の大きさが…」
意味のわからない事を言いながらやっと夏が腕を緩める。
俺は瞬間的にバッと離れた。ぜぇぜぇと息を整える。
「押し付けがましい愛は嫌われるんだぞ、弟君」
「強引な男は何だかんだ言ってモテるんすよ三好先輩」
クスクスと笑いながら三好がからかうように言うと夏が余裕の表現でやり返す。
ホントに仲良いな。まぁ良かった。
「つーか、何で、ここいんだよ!お前中学生だろっ!!」
ようやく息を整えた俺はやっと口を開く。
そしてまた廊下がざわめているのは気のせいだろうか…?
「来たかったから。あー玉子焼き美味い。おにぎり一個もらっていい?」
「いいけど…。あっそれはシーチキン」
あまりにも夏が動じてないので俺は何を言っていいのかわからなくなって来た。

廊下のザワメキは気のせいではなくさっきの夏の時のようにこっちに近づいて来ているし…。
何だ、誰だ?

教室のドアが再び開いた。

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