[携帯モード] [URL送信]

ハルノヒザシ

「もう、こんな時間か。結構進んだし、今日はここまでで終わりにするか。ご苦労だったな、前田」
何時間過ぎただろうか。いい加減手が痛くなってきた俺に望月先輩は言う。
涼しい顔してやはり俺の二倍は軽く作業をこなしている。
俺はもしかしてこの人かなり凄い人なのではないか?と思う。
「ハイ。お疲れ様でした」
ふらふらとしながら俺は立ち上がりカードをしまうのを手伝った。
「寮戻んのか?それとも夕飯食うのか?」
図書室の鍵を閉め、歩きながら望月先輩が言う。
「寮戻ります。自炊なんで俺」
「んじゃ鍵、職員室戻して置いてくれ。俺は食堂行くから」
鍵を俺に渡しながら望月先輩は言い、とっとと食堂に入って行ってしまう。
最後の最後までパシられたなと思いながら、職員室により鍵を戻して寮へ向かう。

「ただいまー」
部屋のドアを開けるといつものように三好が本を読んでいた。
「おかえり、遅かったな」
「うん。何かスゲーパシられた。腹減ってない?直ぐに夕飯作るから」
バタバタと台所に向かい手を洗うと、俺は夕飯を作り出す。
うん、今日は麻婆春雨でいいや。それにしても買い物行かないとな。
「先輩に聞いたよ。保健委員の事。ごめんな。三好」
とっとと料理を作り茶碗運びに来た三好に言う。
「ああ、聞いたんだ。俺なら平気だから、気にしなくていいよ」 茶碗を運びながら三好は何でもない顔をする。
「それより、図書室委員の方が大変だろ。いきなりこんなに遅くまで残らされてよ。さすが将軍だぜ。ああありがと。いただきます」
どーぞと言いながら俺もくいはじめることにする。
「将軍って望月先輩が?」
「ああ人使い荒いからな。軍隊並だぜ」
「まぁ確かに。これからも1週間に一度活動があるんだよね」
その人使いの荒さを身を持って知っている俺はため息をついた。
ホント、嫌いでは無いんだけどな。望月先輩。
「俺は明後日の身体測定だよ、お互い大変だよな。ああ面倒」


そんな事を言いながら一日目の夜は過ぎて行く。

[*前へ][次へ#]

8/39ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!