ハルノヒザシ 12 「何か普通に負けたな」 「いいんじゃない、別に。相手強かったし…」 ゲームセット。 センターに居た音羽とライトに居た俺はくっちゃべりながらホームへと歩いて行く。 午後、三年のチームと当たった俺達は普通に敗北をきっしていた。 音羽は負けて悔しそうだが、俺はやっと終わったという安堵感の方が強い。 まぁ、想像してたよりは意外と楽しかったけど…。 両チームが整列し、お互いの声が五月の空に響く。 「暇やなー、サッカーの試合でも見に行かん?ちょーど決勝やろ」 二条の一言でグラウンドの反対側にあるサッカーのコートへと向かう。 「ああ、桃先輩だー」 着いた途端に嬉しそうな声を上げて試合に見いる音羽。 視線の先には、あ、本当だ、桃山先輩がいる。 あのさすが体育委員長、穏やかな笑みとゆるーい喋り方からは想像出来ないくらい敏捷だ。 あっという間に人々の間を小柄な身体がすり抜けて行く。 「桃先輩カッコイイ!!」 それを見ながらきゃんきゃんと音羽が喜んでいる。 あ、つーかあそこで暇そうにつっ立ってるのは望月先輩じゃん。 生徒会の天パの軽そうな人と喋ってる…。 「なんや、凄いラインナップやな…。四天王が全員集まっとるやないか…」 ピューっと隣で口笛と共に二条の呟き。 「四天王…?」 思わず俺は聞き返す。 [*前へ][次へ#] [戻る] |