[携帯モード] [URL送信]

ハルノヒザシ
5・(夏月視点)
「さあて、反対側も行こうか」
俺はそう呟きながら反対側の腕に手を置いた。
再度響くごきり、という音。
俺が手を離しても風間はピクリとも手を動かさない。
痛みから来る脂汗が風間の額を伝う。
大したもんだよ。泣きも叫びも喚きもしないなんて。
そうとうな激痛のはずなのに。
「どうした…、終わり、か…?」
まだ笑う風間。
次は顎関節でも外そうかな。喋れなくなるだろうし。
「まぁ終わりにしてやってもいいかな」
そう言いながら俺は外した骨の辺りを軽く指で弾いた。
風間が低くうめき、黙りこむ。
「いいか、次兄貴に近づいてみろ。次はこんなもんじゃ済まさねぇからな。股関節外して放置してやる」
股関節外すと動けねぇし、間抜けだからな。
フフっと俺は口を歪めて笑う。
「そ、れは…多分無理だな…。俺、はるちゃん先輩、好きだから」
痛みを堪え、息を切らしながら言う風間。
未だ強く挑戦的な光を放つ風間の瞳と冷たく見下ろす俺の瞳が合う。

そのまま俺達の間に流れる沈黙。 片時も視線を外さないまま。

こういう阿呆はやっかいだ。
痛い目を見たって学習しようとはしない。
どうしようか。
今この場で徹底的に破壊し尽くすって言うのもいいかもな。

身体も、精神も…。
二度と立ち上がれないように。

[*前へ][次へ#]

22/102ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!