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ハルノヒザシ
2・(風間視点)
ガラガラと教室の扉の閉められる音。

こないだ喧嘩売った奴等と喧嘩した場所。
いやーあの時も結構楽しかったな。
ちょっーとだけもの足りなかったけど。
クルリと前田を振り向けば、後ろのロッカーにもたれかかり、腕を組んで俺を睨んで居る。
余裕だなー。さっきはぶっ倒れた癖に。
「どした、さっさと来いよ」
ニヤニヤ笑いながら見ていると、前田が無機質な声で言う。
構えもしないんですか、余裕だな。本当に…。
「兄貴に手を出した事、後悔させてやるから」
淡々とした声とは裏腹にギラギラと怒りで燃える前田の瞳。
本当にはるちゃん先輩が大切なんだねー。
それとも嫉妬かな。はるちゃん先輩にキスしちゃったし。
「余裕だね。さっきは無様にぶっ倒れた癖に」
「テメーがキショいからだよ」
他の挑発にはのりもしない前田。
それでは、そろそろ始めますか。
「んじゃ、お言葉に甘えてっ!!」
叫ぶと同時に俺は跳躍。その勢いのまま前田の顔めがけて拳を突き出すが、なんなく避けられる。
間発入れず上段蹴り。前田は腕をクロスさせてガード。
そのまま俺の足を弾き、振り上げられた腕が俺の顔に到達するギリギリまで顔を反らせ、バク転しながら後ろに飛ぶ。
距離を取った俺を追うことなく、前田は最初に居た位置から動かずに俺を睨みつける。

あれ、まだ本気じゃないのかな。
こんな楽しいのに。
でもやっぱ、強いな。前田。
当てさせてくれないよ。
俺のスピードに付いて来れる奴なんかなかなかいないのに…。

またニヤリと笑いながら、再度俺は床を蹴った。



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