ハルノヒザシ 6 あらら、この状況は一体なんなんだろ。 つい三好と喋り過ぎてしまい、急いで走って来たというのに。 カウンターでは神田君が泣きそうな顔してるし、望月先輩はめちゃくちゃ怒った顔して立っているし、何故か夏とくるみちゃんが居て二人とも一瞬即発状態だし…。 さっきほのぼのと玄関前で三好と別れたのが懐かしい。 「春日先輩…」 神田君の泣きそうな声で言いながら俺に寄って来る。 「えっと、一体どしたの?」 よしよしと神田君の頭を撫でながら夏に聞けばスッと視線を逸らされ「何でもない」の一言。 何でも無いわけないだろう。 「行こうよ、前田。邪魔みたいだし」 張り詰めたこの場の雰囲気に合わない気楽そうなくるみちゃんの声。 そのままくるみちゃんは夏の腕を外しスタスタと立っている俺達の方へと歩いて来る。 「こんちわ。はるちゃん先輩。お邪魔しましたー」 ニコリと俺に笑いかけ、そのまま図書室を出て行く。 続いて歩いて来る夏。 めちゃくちゃ不機嫌そうな顔をしている。 「夏…?喧嘩…?」 見上げながら聞けば、ちょっとだけ表情を緩め首を振る。 「んーんー、違うよ。兄貴は心配しなくても平気」 「頭大丈夫?昼の…」 「ちょっとタンコブ出来た。でも平気ー。んじゃね。兄貴。先輩、すみませんでした」 へらっと俺に笑いかけた後、後ろの望月先輩に向かって丁寧に頭を下げた夏が出て行く。 パタン、と図書室の扉が閉まる音と共にようやく張り詰めたいた雰囲気が緩んだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |