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ハルノヒザシ
5・(神田視点)
「前田ならまだ来てねーよ。つうか何の用だ」
ポカンとしたまま銀髪の少年を見つめていた俺の後ろから望月先輩の声。
普段より鋭いその声に思わず振り向けば、声と同じく鋭い視線を向ける望月先輩。
うーわー。怖いよー。春日先輩早く来ないかな。
「いや、はるちゃん先輩に会いたいだけですよ?俺は」
望月先輩の鋭い言葉に全然怯む事なくニコニコと笑いながらその銀髪の少年は言う。
女の子みたいに綺麗な顔。
でも、その笑顔は何故か怖くて…。
思わず僕は望月先輩の後ろに身を引いた。
「図書室は遊び場じゃねぇ。仕事の邪魔するつもりならとっとと帰れ、少年」
望月先輩の言葉に目の前の銀髪の少年の目がスッと細くなる。
口元の笑いはそのままに…。
「先輩…、邪魔するつもりなら…」
少年が口を開いた時、バンっと荒々しく図書の扉が開いた。
飛び越んで来たのは息を切らしたまたもや学ランの少年。
見たことあるなと思えば春日先輩の弟だ。
夏月、君と言ったっけ。
「風間、てめぇ……」
ツカツカと近づいて来て、引く呟きながら銀髪少年の胸ぐらを掴む夏月君。
「アハハ、やっぱ来たね。はるちゃん先輩にちょっかい出せば絶対来ると思ったんだ」
笑う、銀髪少年。
僕みたいな奴でも感じる事が出来る狂気を振り撒きながら。
「出てけ、てめぇら。図書室で騒ぐ事は俺が許さねぇ」
いつの間にカウンターから出たのか、膠着状態で睨み合う二人の前に進みでた望月先輩が鋭く言い放つ。
「だからー邪魔する…」
銀髪少年が望月先輩を睨みながら口を開きかけた時、カチャリと遠慮がちに図書の扉が開かれた。
「すいませんー、一分遅れましたー」
この場にそぐわない呑気な声。
思わず全員の視線がそちらに向いた。

春日先輩が困ったような笑みを浮かべて扉の前に立っていた。

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