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ハルノヒザシ
究極な2択
「…と言うわけで今年度も諸君には峡城生との自覚を持ち…」

話が長い、長過ぎる。
始業式中、俺は校長の話を聞きながら思う。
周りの生徒は殆ど撃沈。お休みタイムだ。隣の三好も…。
根が真面目な俺は頑張って起きて聞いていたが、いい加減クラクラして来ていた。声から音波でも出ているんじゃないだろうか。眠くて仕方がない。

しかし、峡城は結構なハイレベルな学校としては派手な奴が多い。
昨日の図書委員の望月先輩にも驚いたが、染めてる人はそんな珍しくもなくいるみたいだ。勿論黒髪の方が多いけど。
退屈な校長の話を聞くことは止めて俺は辺りを観察しながら思う。
クラスでも先程ちょっとしたホームルームがあったが、染めた奴が2、3人居た。
因みに担任はやはり西原先生。
宣言通り、編入してきたのに挨拶みたいのは無かった。おかげで俺は全員の前で挨拶という嫌なイベントを発生せずすんだ。
まぁクラス変わったばかりで見知らぬ顔が多いのは皆同じのようだったけど。
俺の席は窓際の一番前。そして三好はその後ろ。まぁ五十音順だし。
「…これからもまだまだ前途洋々とした諸君の健闘を祈る」
その時やっと校長の話が終わりパラパラと気のない拍手が起こる。
やれやれ、やっと終わるの、と一瞬喜んでいた時「次は生徒会長からのお話です」と言うアナウンスが響いた。ぬか喜びか。

「こんにちは皆さん。今年もまた新しい一年が始まりました」
壇上に上がり話し始めた生徒会長は、凛とした、しかし落ち着いた声で話し出す。
結構小柄で髪はセミロング程の長さ。顔ははっきり言って美人だ。
育ちも良さそうで物腰も大人っぽく、流石に生徒会長をやっているだけあるなと感心してしまう。
でも、俺だけだろうか。あの人から例えようのない冷たさを感じるのは…
そんな事を思っている間に生徒会長の話はさっさと終わった。
まぁ誰も校長の音波のせいで聞いてないしいい判断だ。
会長は壇上から下り、端を通りながら自らの席に戻って行く。
俺達のクラスは端に位置するので、自然と会長は横を通る事になる。
規則正しく近づいて来る足音。そして、会長が俺達のクラスの横を通り過ぎる。その時
強い視線を感じ顔を上げると会長と一瞬だけ目が合った。

睨まれた、気がした。敵意を持って。

しかし会長が通り過ぎるまでの一瞬の事であっという間に会長は歩き去ってしまう。
初対面の俺に睨まれるような覚えは全然無い。
じゃあさっきの視線は何だったんだろうか?

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