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ハルノヒザシ

「俺、風間来海っていいます。今度から中三に編入してきました」
銀髪の少年が歩きながら自己紹介をする。
「ああ、俺は前田春日。高二だよ。よろしくね」
俺がにっこり笑って言うと、漢字をどう書くか質問された。
俺が春の日と書く事を教えるとへぇーと言うようにクルリとその大きな目を動かす。
「じゃあ、はるちゃん先輩ですねー」
はるちゃん先輩か…。初めてそんな事を言われた。
そうやって呼んでいいですかー?と無邪気に笑うので俺は断れるはずもなく頷く。
「俺の事はくるみちゃんでいーですからー」
くるみちゃんか。可愛いしあってると思う。
でも俺は今まであった事の無いノリでタジタジだ。
話し安いっちゃ話しやすいんだけどね。
校庭の横を通り過ぎ、高校の寮と高校ん通り過ぎ、ようやく中学の寮が見えて来た。
場所は知ってるけど入った事は無いんだよね。
「ここが中学の寮だよ」
「へー結構新しいっすねー」
俺が入り口まで案内すると、くるみちゃんはポカーンとした顔で寮を見上げる。
「じゃ、ありがとうございましたー。助かりました。はるちゃん先輩!」
「ああ、どういたしまして。早く慣れるといいね」
ペコッと頭を下げながら礼を言うくるみちゃん。
意外と礼儀正しいなーと思いながら、俺が答えるとスッと腕を握られた。
何だ?と不思議そうな顔でくるみちゃんを見れば、ニコッと八重歯を出しながら笑う顔と目が合う。
「また、会えるといいですね。はるちゃん先輩」
そう言って右腕の手の甲にキスされる。
えっ、どこの紳士?
「…!?…」
思わぬ行動にびっくりして目を見開いていると、軽く手を振りながら寮へと入って行ってしまうくるみちゃん。

あ、くるみちゃん夏と同じ学年じゃん。言うの忘れたな。
しばらくしてショックから立ち直った俺は、帰りながら呑気に考えた。

うん。深く考えないのが一番だ。

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あきゅろす。
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