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ハルノヒザシ

俺が台所とリビングを片付け終わったと言うのに夏は未だに部屋から出てこない。
どーせ、何か違う事をやっているのだろうと思い、様子を見に行く事にする。

と、その前に俺は和室の前に立ち止まった。
そこが既に何も無い事は重々承知だったけど。
襖を静かに開くと微かに漂うお線香の香りが漂う
四畳半の部屋の半分にだけ明るい日差しが差し込んで来る
空っぽの部屋。
父さんの小さな仏壇があったっけ。
畳の色がそこだけ違う。
なんとなく立ち入らないまま
俺は襖を静かにしめた。
ここには以前
もう別れを告げたから…
くるりと和室に背を向けて俺は夏の元へと向かった。


「夏、進んだ?片付け」
部屋に入ると椅子に腰掛け漫画を読んでいる夏の姿。
なー、このやろう。俺が一仕事やって来たと言うのに…。
「あんまり進んで無い。ちょっと待って、もう少しで読み終わるから」
夏の周りを見ると積み上げられている漫画本。
ずっと読んでたな!
まぁいいや。ここは後回しだ。最後にしよう。
先に玄関と母さんの部屋だ。
夏は使えないし。
「じゃ、先に違う所片付けるから、俺が帰って来るまでに少しは進めとけよ?」
「わかった、わかった」

全然わかってなさそうな夏を尻目に俺は部屋を後にした。

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あきゅろす。
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