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ハルノヒザシ

元々住んでいた頃から俺達の家には物が少なかった。

普通の家にあるであろう沢山の写真も小さい頃読んでいた本も、俺達の家にはなかった。

あるのは最低限の物だけ。
最初からシンプルな部屋だった。

でも住んでいた頃は俺の勉強道具や、夏が読みかけた雑誌があちらこちらにあり、それなりに生活感があった。

そんな中で毎朝起きて、朝飯作って、学校行って、帰って来て夕飯作って、夏と食べて、そして寝る。

時々、喜介や夏の友達が来ることもあった。

そんな生活が約六年。

高校出るまで変わらないと思っていたのに。

今、俺達の居場所はここじゃない。

帰る場所はここじゃない。


懐かしい匂いがするこの場所に

もう戻っては来れない。

もう戻って来てはいけない。

俺はリビングに立ち尽くす。

無造作に置かれた段ボール箱。 もう使う事のないダイニングテーブル。
カーテンが外された窓。


ああ…
今日俺達は
再び帰る場所を


失うのだ。

六年前のように…

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あきゅろす。
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