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ハルノヒザシ
さよなら、思い出
朝飯を食べ終わると俺と夏は大家さんの家を出て隣のアパートへ向かう。

俺の手には大家さんから預かった鍵。

こないだまでは俺が持っていた鍵。

夏が付けたキーホルダーが付いたままの鍵。

まだ俺達の部屋はそのままになっているという。
とっとと片付けないと次の人が使えない。
俺達の物は処分しなくてはいけない。
隣にあるアパートには徒歩一分。
あっというまに俺達の部屋に着いた。
ガチャリと鍵でドアを開く。

「あー、久しぶりじゃん。何にも変わってねーのな」
「本当だ」

懐かしい色。
懐かしい匂い。
懐かしい…、空間。

俺達の家だ。

入ってすぐに母さんの部屋。
その隣にが夏と俺の部屋。
廊下を抜けるとリビングがあり、隣に和室。

流石に大まかなものは処分されているがまだあちらこちらに細々した物が残っている。
「んじゃー始めますか、片付け」
俺はジャージの腕を捲りながら言う。


思い出と、さようならを

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