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ハルノヒザシ

次の日の朝。

布団の中で俺は困っていた。

布団からどうしても出る事が出来ないからだ。

さっきから頑張っているのだがどうしても出られない。

本当に困った。

後ろからは能天気そうな夏の寝息。
思わず小突きたいが身体が動かないのでそれも出来ない。

俺はハーッと溜め息をついた。

昨日、何時まで飲んでいたかは知らないが戻ってきた夏は俺の布団に潜りこんできたらしい。
それだけならまだいいのだが俺を抱き枕のごとく後ろからがっちりと抱き締めているので俺は身動きが取れない状態だ。
こんなんになるんだったら夏の布団も敷いておくんだったと俺は悔やんだが、後悔先にたたず。
この様だ。

どうしよう、騒いで起こすか?
しかし隣には大森さんが寝ているようだ。

多分起こしてしまうだろう。

結局そのまま夏が起きるまで、俺は大人しくしているしか無かった。

「怒るなよー、兄貴」
「別に怒ってないよ。例え夏が俺を抱き枕がわりにしてそれだけならともかく夏が目を覚ました後、俺が離せと言うのにも関わらずそのまま中々放してくれなかったとしても」
俺は振り向きもせずに、朝飯の用意を続ける。
「怒ってんじゃんー。ごめんてば。起きたら余りにも嬉しい展開だったので、もう少し楽しみたかったんだよ」
俺は楽しくない。
しっかし、あれだけ飲んでよく二日酔いにもならないな。夏は…。
「おはよう。早いねー。二人共」
「おはようございます」
大家さんが起きてきた。
「おはようございまーす。聞いて下さいよ!兄貴が酷いんですよ!」
「夏が120パーセント悪いんだろっ! あっ、大家さん、いますぐ食べます?」


今日も一日がドダバタと始まった。

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あきゅろす。
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