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ハルノヒザシ

「やーっと着いたー」
目的地の駅に着いた時、思わず俺はグーッと背筋を伸ばした。
途中何度も乗り換えながら四時間ちょい。
流石に疲れますよ。
夏は変な事をしてくるし。
「腹減ったー」
「もう?弁当食ったじゃん」
後ろをダラダラと歩きながら夏がぼやく。
「これから買い物行くんだろ。その前のラーメン食おうよ」
「まぁ、良いけど。切符持ってるか?大丈夫か」
「持ってますよ、ホラ」
そんな事を話しながら改札口を抜け、駅の外に出る。
あー、懐かしい。
目の前に広がるのはこの間まで日常だった風景。
一ヶ月で変わる訳がないが変わってない景色が妙に嬉しい。
「なー、早くラーメン食いに行こうぜ」
ちょっとした感傷に浸っていた俺の肩を引っ張りながら夏が言う。
この…、少しは懐かしいとか思わないなか?夏は…。
「ハイハイ、わかりましたよ。何時もの所だろ」
そう言いながら歩きだそうと顔を上げると
俺はある一点に目が釘付けになった。
駅のロータリーの端に原チャリを止めて、煙草をふかす、灰色のツナギ姿の男。
嘘だろ…?
電車の時間何か言ってないよ、俺。
何でいるんだ?


「喜介っ!!!」

思わず俺は叫びながら駆け出した。

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