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ハルノヒザシ

「ほら、あそこだ」
たわいのない話をしながら中学校を過ぎると校舎陰に見えて来た建物を三好が指先した。
近づいて行くと剣道部員達の掛け声が外まで聞こえてくる。
「えーっと、どうしよ」
来てみたものの練習中なので中に入るのを憚かられるのでとりあえず背伸びして覗いてみることにする。
うわー、やってる。やってる。
中で動き回る剣道部員達。
これが青春だね!!
みんな同じ胴着を着ているので誰がだれやら。
夏は何処だろう?
「あれじゃねーの。あれ」
「えっ、違う気がする」
「んじゃ、あれ」
「うーん、遠くて良くわかんらん」
三好と共に剣道場を覗き込みながら夏を探す。
端から見ればかなり怪しいだろう。
「だいたい全員同じ恰好じゃわからねーよ。表回った方が早くね」
三好が早くも諦めて窓から離れる。
確かに背伸びしてるのキツいし、その方がいいかもな、と思い俺達は表に回る事にした。
足がつりそうだよ。
「ちょ、待って。三好!」
俺が先に行く三好を止めたその時だった。

「兄貴っ!?」

今しがた俺達が覗いていた窓が勢いよく開く。

「あ、夏…」

手間が省けた。

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