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ハルノヒザシ

「すいませんー、黒滝さん。外出許可の申請に来たんですが」
電話を終えて、三好の言う通りに書類を書き込んだ俺は管理室の窓を叩く。
「こんにちわ、前田君。外出許可ですね。確かにお預かりします」
すぐに黒滝さんが出てきていつもの穏やか笑みを浮かべながら俺の差し出した書類を受け取った。
そのままニコニコと顔を上げた黒滝さんだが俺の顔を見た瞬間、表情が曇る。
「前田君、どうしたんですか?口。腫れてますね」
首の包帯はジャージを上まで上げて隠しているが、流石に隠せない。
「あぁ、これですか、壁にぶつかった時、自分で…」
先程考えた言い訳を言う。
向こうから三好の視線が痛い。
「そうですか。気をつけて下さいね。では楽しい連休を」
「ご心配ありがとうごさいます。それでは失礼します」
ペコリと頭をさげながら管理人室を後にする。
深く聞いてこない黒滝さんが有り難い。
「三好ー、待たせてごめんなー」タタッと玄関前のロビーで座って待っていた三好に駆けよった。
「おう、じゃ、行こうか」
中学生の剣道場だよな、と言いながら三好が立ち上がり、何時ものようにスタスタ歩きだす。
「うん。じゃあお願いします」
俺も三好に続いて歩きだす。
中学校の方に行くのは始めてだ。

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