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ハルノヒザシ
片道五時間
「あ、もしもし前田ですけど、お久しぶりです。ハイ、春日ですー」
俺は寮の電話でついこの間まですんでいたアパートの大家さんと話していた。
「ハイ、元気です。それで預けていた荷物の事なんですけど、今連休中なのでお邪魔じゃ無かったら取りに行きたいのですけど…」
こちらに来るときは急いで出てきたので色々と大家さんの親切に甘えて置いて来ていた。
こちらも落ち着いたし、迷惑だろうから取りに行かないと…。
「ハイ、ご迷惑おかけしてすみませんでした。えっ!、いえそこまで甘える訳には、あっ、ハイ喜んで。わかりました、では、そうさせていただきます。ハイ、じゃあまた連絡しますんで。ありがとうございます、それでは失礼します」
そこまで言うと俺は受話器を置いた。
ここから片道五時間はかかる俺達の故郷は日帰りだと少々キツい。
ので、友達の家に一泊しようと思っていたが、大家さんの『春日君の料理が食べたい』宣言により、泊めて貰える事になってしまった。優しいな。
芸は身を助けるとは正にこの事だ。
久しぶりに大家さんの声を聞いた俺に懐かしさが込み上げてくる。

よーし、一ヶ月ぶりの里帰りだ。

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