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木手永四郎専用部屋(短編)
悪戯心 4/1↑ エイプリールフールに引っかかった可愛いキミへ…




沖縄は遠くて、遠すぎてたまに永四郎が分からなくなる…
女の子が一人で沖縄に来てはいけないと言うし、会いたいと言っても、我慢しなさいと宥めるだけ…

会えるのは年に数回だけ…

お正月とGWとお盆、後は永四郎の休み次第…







4月1日… 大学は8日からで後一週間退屈な時間を過ごさなければいけないと思うと溜め息が出る。


永四郎、何してるかな…




メールを打ってみるが返事はない


あ〜つまんない、周りの友達は彼氏と旅行いったりしてるのに…
こんな時遠距離恋愛なんてしなきゃ良かったと思ってしまう。
いくら電話やメールしても顔が見えなきゃ伝わらない事だってある
近くにいなきゃ解らないこともある…


不安で不安でどうでもいい事にも腹が立つ、次はいつ会えるんだろ











♪〜











□4/1(水)10:58
□木手永四郎

-----------------
キミの家の近くに
小さな公園がありま
したよね?
今から来れますか?



永四郎
-----------------




「え、今?…………」


前にも永四郎は突然会いに来た事があった、もしかしたら…
そんな思いで家を飛び出した、もしかしたら会えるかもしれない…

ニヤニヤしながら全力疾走している女の子なんて気持ち悪いだろうな…
そんな事を考えながらも嬉しくて、嬉しくて走った。


遠距離は淋しいけど会えた時の嬉しさはたまらないんだ…
久しぶりに抱き締めて貰えた時の感触は格別で、限られた時間を一分一秒無駄にしないようにお互いの愛を確かめ合って…
遠距離でしか味わえない気持ち…………









公園の入り口から見えたのはスーツ姿の男。
あたしは確かめる時間さえ惜しくて後ろからぎゅっと抱き付いた



「会いたかった…」








永四郎、少し太った?
ううん、きっと気のせい…
久しぶりだからそう思うだけ…


会いたかったよ、早くぎゅってして…
会えなかった分も…













『あの、ゴーヤーサワーさんですか?』


「?」


あたしの手を解いて振り返る、光る眼鏡は永四郎と同じ…………

けど声が違う…


恐る恐るじっと見上げると優しそうな知らない人…
その手には大きな花束…


『ゴーヤーサワーさんですか?』


「は、はい…」


『これ、お届けものです』


花束を受け取りぽかんと見上げる…


『受け取りにサインお願い出来ますか?』


「は、はい」


『有難うございました。』


男の人は道端に停めてある車に乗り込んで行ってしまった…




花きゅーぴっと…………………確かに車にはそう書いてあった………







花束にはカードが添えられていた。










サワー、俺と他の男を見間違うなんて心外です… 永四郎










なっ!!!なんなのよこれ!!!!!!



あたしの乙女な気持ちを返せ!!!!!

怒りで手が震えて携帯のボタンが上手く押せない…


プルルルル


木「はい」

「はいじゃないわよ!なんなのよ!!!あたしがどんな気持ちでここまで来たか分かってんの?大体ね〜いつもあたしがどんな気持ちでいるか永四郎は分かってない!周りの友達が毎日、毎日彼氏といちゃついてるのを目の前にしてるのよ!!一人暮らしをいい事に泊まっちゃって昨日と同じ服で講義に来る子だっているしそんな子に遠距離恋愛は辛いね〜なんて言われたり、会いたくても言えないあたしの気持ち分かる?こんな、こんな事だってあたしは嬉しくて、嬉しくてニヤニヤしながら全力疾走して………会えるかも知れないって期待して………いつも、いつも永四郎に振り回されて、あたしばっかり永四郎を好きで………本当馬鹿みたい…………」

まくし立てる様にぶちまけた…
会えると思ったのに…
いつも、いつもあたしだけが永四郎を好きみたいだ………

こんなに必死な自分が情けなくて…悔しくて…




木「言いたい事はそれだけですか?」


「………」

なんでそんなに冷静なのよ…………
なのよそんなに余裕なのよ…………




木「サワー、今日は何の日か分かりますか?」


「………わ、わかんないよ…」











木「エイプリールフールです。」









「はぁ?」










確かに受話器とは違う方からも声が聞こえた…

ゆっくりと後ろを振り返る……………





「嘘…………」


木「何?幻に見えるの?」

確かにそこにいるのは永四郎、頭が上手く動かなくて、何が何だか理解出来ない…
永四郎は少し笑ってあたしに手を伸ばし花束ごと抱きすくめた。





木「今日から嫌って程いちゃつけますが、どうしますか?」


「え、だって……だって………永四郎の大学は沖縄って…………」


木「気が変わったんですよ…いけませんか?」


「え、意味がわかんないよ………」


木「ん?ゆっくり解らせてあげますよ(微笑)」



END

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