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木手永四郎専用部屋(短編)
悪魔、天使… 6/22↑
真っ暗な場所で立ち尽くすあたしの手を引いてくれたのは貴方でした。


大きくて少し冷たい手は痛いくらいにあたしの手を掴んで離さない。


明るい場所に出るといつの間にか貴方の姿は消えて、残ったのは冷たい感触だけ


確かに貴方は此処にいたのに…



此処にいたはずなのに…




一面真っ白な空間は怖いくらいに孤独を突きつける。
暗い場所は誰かがいるんじゃないかとまだ期待出来る

本当に一人なんだと視覚で確認すると、悲しくなった…

真っ白なその場所に腰を下ろし膝を抱えた。
顔を伏せて瞼を閉じる
そうしたらまた真っ暗で貴方に会えそうな気がした




『サワーさん』


低い声に顔を上げる…

「誰?」

『迎えに来ました。』


真っ黒なスーツのその人の背中には白い羽と黒い羽が一枚づつふんわりと生えていた。

差し出された手に戸惑っていると、彼はあたしの前に座り込んで頬を撫でた。


『孤独が怖いんですか?暗闇が怖いんですか?』

「どっちも怖い」

『では、その間にいきましょう俺と…』

「貴方と?」

『えぇ』


彼の手は間違いなくあの時の手だった…

その手に全てを委ねて歩き出した…

彼となら…





どこまでもいける気がした…



孤独が無くなるなら…
貴方に付いていくよ…


貴方のアンダーリムがきらりと光って鋭い眼光であたしに笑いかける…

もっと貴方を知りたい。貴方は誰?

何故色の違う羽を持っているの?


何故あたしを助けるの?


















彼は死人案内人、
二枚の異なる羽を持ち
死人を誘う

行き先は上が下か、その間をさまよい続けるか、それしかない。

サワーの行き先は彼しか知らない…

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あきゅろす。
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