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木手永四郎専用部屋(短編)
生まれ変わっても… (前編)編集8/23↑
それは高校卒業してまもなくの事・・・・・









突然の電話・・・・・凛からだ・・・・



寝ぼけながら電話に出る・・・・

「サワー・・・落ち着いて聞けよ!」

落ち着いてないのは凛の方じゃない・・・

「なによこんな時間に・・・」

凛の声は尋常じゃないほど震えていた・・・

「永四郎が・・・・」









「そんなの嘘に決まってるじゃん!何冗談言ってんの・・・」


「冗談じゃない・・・今から迎えにいくやっし・・・」



プープープー

切られた電話・・・・



嘘・・・・・・・?









そんな事あるわけないよ・・・・








きっと凛と一緒に永四郎はくる・・・
それで・・それで・・・嘘だよって・・・








驚いたでしょう?って優しく笑って・・・・・




凛だってわんの演技に騙されたさ〜って言うに決まってる!






こんな時間からどこかに遊びに行くつもりなのかな・・・・




急いで準備して凛の車を待つ・・・







ブ〜ォン・・・・

凛「乗れよ・・・」

「永四郎は?」

凛「さっき言っただろ・・・・」

「何それ?もう・・冗談やめてよ・・」

凛「冗談なんかじゃない」


また何言ってんの凛・・・・・・





永四郎が・・・










永四郎が死ぬわけないじゃん・・・・・・








死ぬわけ・・・・・・













永四郎の家に着く・・・・・

目に飛び込んできた光景






家族・親戚が永四郎を囲み涙している・・・







タニシ・・・知念・・・・甲斐・・・・

何泣いてるの?

みんな何泣いてるの?



永四郎・・・・・
なんで寝てるの?








凛「サワー・・・・・・・・?」


立ち尽くしたままどうすることも出来ない・・・・・



こんなの嘘だ・・・・








嘘だよ・・・・・・








こんな事・・・・・









ありえない・・・・・









凛に支えられ永四郎に近づく・・・・・


整えられた髪・・・・

綺麗な顔・・・・・


長い睫・・・・・



見慣れた永四郎の寝顔・・・・・









そっと手を伸ばした・・・・・・・








冷たい・・・・・










「永四郎・・・?ねぇ・・・・永四郎!!!目開けてよ・・・・なに寝てんの・・・?起きてよ・・・・永四郎・・・・・・・・・?」


今にも開きそうな瞳・・・・・









でもどんなに呼んでも・・・・

揺すっても・・・・・


永四郎は目を開かない・・・・・






あたしを置いて逝ってしまったんだ・・・・







冷たさを増す体にすがりついて泣いた・・・・








「永四郎・・・なんでよ・・・・なんであたしを置いていくのよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」





一帯に響き渡る悲痛な叫びが・・・その場にいた全ての人の悲しみを深めた・・・・・









布団に横たわる永四郎から離れる事が出来なかった・・・・




受け止められなかった・・・・・







永四郎の組まれた手にあたしの手を重ね話しかける・・・

「永四郎?ねぇ・・・返事して・・・・」




眠る永四郎に唇を重ねる・・・・・



でも冷たさは一層あたしに現実を突きつけるばかり・・・・



何度重ねても・・・・



現実は変わらない・・・・








大好きな永四郎の鼓動・・・・・

息使い・・・・・











もう聞こえない・・・・・・・・









しばらくして凛が来た・・・・


「サワー・・・棺に移すって・・・」

「ダメ・・・・そんな事したら・・・そんな事したら永四郎戻ってこれなくなっちゃう!!!!」





「永四郎は死んだんだよ!!!!!」


「イヤ!!!聞きたくない!凛のバカ!!!!」







「サワー・・・・もう戻らないさ・・・」






あたしは知念と凛に抱きかかえられ永四郎から引き離された・・・







葬儀屋さんが永四郎の体を棺に納める・・・




「いやっ・・・・・ヤメテ・・・・永四郎に触んないで・・・・止めてよ・・・・いや!!!!!!!!!」





暴れるあたしを知念が抱きしめ制止した・・・・・・


「放して知念!!!放してよ・・・・っ・・」

知「サワー・・・しっかりしろ!!!!」




「っぅ・・・うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん・・・・・」







ベルベットに包まれた棺・・・・・・


蓋がされた・・・・・



もう永四郎に触る事さえ出来ない・・・・・






家の隅で知念に抱きしめられたままあたしは泣き続けた・・・・
もう立ち上がる力さえない・・・・
ただ涙が止まらない・・・・



知念が静かに口を開く・・・・「サワー・・・・事故だって・・・・・飲酒運転の車が、歩いている永四郎の後ろからつっこんだらしい・・・・」








人事だと思っていた、飲酒運転の事故に巻き込まれるなんて・・・・







永四郎がいなくなるなんて・・・・・・









時間ばかりが過ぎあたしは何もできないまま、何も受け入れられないまま次の朝を迎えた・・・・・・








人々が集まり葬儀が行なわれた・・・・・







ただ呆然と座ってるしかなかった・・・・・









「サワー?」

凛があたしの腕を掴み立ち上がる・・・・・
焼香の順番が来たようだ・・・・


知念と凛に引きずられるように進んだ・・・

知念・凛が焼香を済ませる・・・・

知・凛「サワー・・・」

「出来ないよ・・・・・出来ないよ・・・・・」






参列者がざわつく・・・・



知念と凛は仕方なくあたしを連れもとの場所に戻った・・・・









なんで永四郎に手を合わせないといけないのよ・・・・・










出棺の時刻が迫り棺が開けられみんなが最後の別れをする・・・・
あたしは最後まで近づけなかった。






甲斐「サワーもう閉められちゃうぞ・・・早く行けよ・・・」

甲斐に背中を押された・・・

知念と共に棺に近寄る・・・・



華に囲まれた永四郎・・・

昨日よりも顔は白く・・・・

穏やかな顔・・・・




本当に死んでしまったの・・・・・・


「えいしろ・・・・・永四郎〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!っ・・・・・逝かないで・・・・あたしを一人にしないでよ〜〜〜〜〜〜!!」

そっと永四郎の頬に手を伸ばし冷たくなった唇に最後のキスを落とした・・・・
そして耳元で囁いた・・・・・

「あたしもすぐ行くから・・・・」









棺には釘が打たれ霊柩車のクラクションが響いた・・・・・












あれから一週間あたしはまだ生きている・・・・・
永四郎との思い出に囲まれて・・・・・








永四郎の気配がする・・・・




今から逝くよ・・・・
待ってて・・・





もうこの世に何の未練もない・・・

永四郎がいない世界なんて生きてても仕方ない・・・・








永四郎・・・・会いたい・・・・











何の迷いもなくあたしは首筋にカッターをあてた・・・・


激痛と薄れていく意識・・・・




「やっと会える・・・・永四郎・・・」




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あきゅろす。
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