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木手永四郎専用部屋(短編)
友香様リク 2007/05/18↑(前編)編集8/23
卒業式まで残り僅か・・・・









中学校生活も、もう終わる。









俺には遣り残した事がある・・・

同じクラスのゴーヤーサワー・・・・

ずっと好きだった。
全国大会が終わったらこの思いを伝えるつもりだった・・・・





全国大会は無様な結果・・・・






こんな俺が思いを伝えても迷惑だと今まで黙っていた。







ある日の放課後、教室に行くと暗い顔のサワー・・・・
今にも泣き出しそうな寂しい瞳・・・・





「ゴーヤー・・・どうかしたんですか?」


はっとした様子でこっちを見る・・・
「木手・・・まだいたんだ・・・」


俺はサワーの隣の席に腰を下ろした。

「なんでそんな顔してるんです?」


踏み込まれたくない・・・・一瞬サワーの顔が怖くなった・・・・。


「俺なんかには話せない?」


「心配してくれてありがと!でも大丈夫だから」


サワーは席を立ってカバンを掴むとそっけなく帰って行った。








一人取り残された教室・・・・







一人の女を笑わせることも出来ない・・・・










俺も所詮15のガキだってことですね。











数日後の朝、少し早めに登校すると教室にはサワーの姿・・・。


誰かと電話している・・・・・





俺は黙って席に付いて本を開く・・・・








サワー「なんで?理由が知りたいの・・・・誤魔化さないでよ!嫌いならそう言えばいいでしょ・・・・」








男か・・・・



俺が惚れるほどの容姿だ・・・他に男がいたっておかしくないか・・・・





サワー「赤也の馬鹿!」


携帯を握り締めたままサワーはその場に座り込んだ・・・・



すすり泣くサワーを頬って置けるはずもなく、サワーの腕を掴んで屋上へと向かった・・・。

「ほっといてよ!」

「みんなにその顔見せるつもりなんですか?」




屋上に着くとサワーは座り込んだ・・・・傍に座りハンカチを差し出した。


静かに受け取ったサワーは
ボタボタと大粒の涙を零しながら俺に問う。


「いつからいたの?」


永「少し前からです」


「そう・・・・」

サワーはそれから何も話さず泣き続けた・・・・


この手で抱きしめたい・・・・・でもきっとサワーは嫌がるだろう・・・・





授業が始まるギリギリまでサワーに付き合った・・・。







サワーをこんなに泣かせる赤也と言う男一体どんな男なんだ・・・・・








奪い取ってしまいたい・・・・


力ずくで・・・・・




俺のものにしてしまいたい・・・・・








今の情況では心までは奪えない・・・・







心が俺を見てくれないのでは意味がない。










チャイムが鳴り俺達は教室に戻った。







サワーの事が気になって授業どころではなかった。

サワーの後ろ姿を見つめる・・・・








休み時間平古場と甲斐が来た・・・

平「永四郎朝ドコにいってたんば?」

甲「探したさ〜!」


永「屋上です!」

平「ゴーヤーと?」

甲「とうとう告白したんば?」


永「してません!余計なお世話です!」



平「何だよ〜人がせっかく心配してやってるあんに〜!」


永「だから!それが余計だといってるんです!」


甲・平「まぶや〜まぶや〜!」



この日一日何も手に着かなかった・・・・











サワー視点・・・



その日は、彼氏の赤也と些細な事で喧嘩・・

遠距離なんてこんなのもなのかな・・・・・

まじ凹む・・・・

放課後なんか帰るのもだるくて一人教室に残っていた。





「ゴーヤー・・・どうかしたんですか?」


声の主はクラスメイトの木手永四郎。
それほど仲良くないが見た目と違い結構いい人。

「木手・・・まだいたんだ・・・」


木手は黙って近づくと隣の席に腰を下ろした。

「なんでそんな顔してるんです?」


えっ?あたしどんな顔してた?彼氏と喧嘩なんて笑われそうで言いたくないよ・・・・。


「俺なんかには話せない?」


夕焼けに照らされた木手の瞳は綺麗で、その視線に何もかも話してしまいそうになった。



さすが殺し屋!
この目でいつも女を落としてるんだ!





「心配してくれてありがと!でも大丈夫だから」


その視線に殺されないうちにカバンを掴み教室を後にした。






数日後の朝少し早めに登校!教室にはあたし一人!





♪〜

携帯が鳴った・・・



赤也だ・・・・


喧嘩以来話してない・・・・

赤「もしもし・・・」


「うん」


赤「俺、考えたんだけどさ!別れよ・・・」






なんで朝一番に別れ話なんてすんのよ・・・




「なんで?理由が知りたいの・・・・」


赤「理由なんてない・・・」


「誤魔化さないでよ!嫌いならそう言えばいいでしょ・・・・」



赤「遠距離・・・疲れた・・・これでいい?じゃぁな」



プープープー




「赤也の馬鹿!」


冷たく切られた電話・・・・
こんな別れ方って・・・・
まじありえないよ・・・・・



携帯を握り締めたままその場に座り込んだ・・・。


悔しくて、情けなくて泣くしかなかった。







ガシッ!!!







えっ?




うずくまったあたしを強引に引きずってどこかに向かう・・・。







木手・・・・




もしかしてずっと聞かれた・・・・・?


「ほっといてよ!」

こんな所見られてたなんて不覚・・・

木手にはこんな所見られたくなかった。



「みんなにその顔見せるつもりなんですか?」





そっか・・・もうすぐみんな来るんだ・・・






黙って着いていった。










着いたのは屋上・・・・・。








座り込んだあたしに木手はハンカチを差出した。

綺麗にアイロンがかけられたハンカチ。








優しいな〜。






こんな時に優しくされるとグッと来ちゃう・・・・


黙ってハンカチを受け取ると止まらない涙を拭いた。






いつから聞いてたんだろ・・


「いつからいたの?」


永「少し前からです」





こりゃ全部聞かれてたかな・・・・

気まずい・・・・

「そう・・・・」



それっきり言葉を交わすことはなかった。



木手はチャイムが鳴るギリギリまであたしの隣で座っていた。



黙ったまま・・・・




きっとあたしが聞かれたくない事分かってるんだ・・・・・







ホント・・・・優しいな・・・・・



赤也とは大違い・・・・



チャイムが鳴り黙ったまま二人教室に戻った。







一日中赤也の事が頭をグルグル・・・・






授業なんてどうでもよかった。







終わったことを考えたって、戻れるわけない・・・・・・・・・








誰か忘れさせてくれないかな・・・・







次の日・・・・
眠れないまま学校へと向かう。腫れた目・・・かっこ悪っ!
忘れたい赤也との時間・・・・所詮お子様の付き合い・・・永遠なんて儚いもの・・・年下の男にココまで振り回されるなんて・・・

早く忘れよ・・・・










木手にハンカチ返さないと・・・。








教室に入ると木手の後ろ姿・・・・







きちっと整えたれた髪・・・・







誰かさんとは大違い・・・・






また赤也の事考えてる・・・・





忘れるって決めたのに・・・






サワー「おはよ・・・」


永「おはようごさいます!今日も早いんですね〜!」


あたしはカバンも置かず木手の前の席に腰を降ろした。


サワー「木手・・これ・・・それと昨日はありがと」

ハンカチを差し出すとその腕を木手は掴んだ・・・



永「綺麗な顔が台無しですよ!眠れなかったんですか?」
大きな手が顔を撫でる・・・。

俯く・・・・
木手の目を見れない・・・・

永「早く忘れなさいよ」


木手の言葉が胸に刺さる・・


忘れたいよ・・・・




忘れられるものなら早く忘れたい・・・・






サワー「・・・・忘れたいよ・・・」

言葉とともに胸が締め付けられた。






グイッ・・・・








机越しに捕まれた腕が引かれ木手の顔が近づく・・・





耳元で囁く木手・・・




永「俺が忘れさせてあげましょうか?」







頭で繰り返す木手の声・・・・






ゾクゾクして心を打ち抜かれた気分・・・








でも・・・・・冗談に決まってる・・・










サワー「冗談・・・止めてよ・・・」







永「冗談かどうか試しますか?」







ゆっくりと木手が顔を寄せて・・・・・









ガラッ!!!!









平「永四郎!!!!っと・・・・悪い!!!邪魔した・・・・」






バタン!!!!







バッ!!!

恥ずかしくなって離れ席に着いた。








ガラッ!


バタン!

木手はすぐに教室を出て行った。








平古場が来なかったら本気でキスしてたのかな・・・・







その日から少しづつあたしの心は木手に近づいていった。











木手視点


何を期待したのか俺は今日も早めに学校に向かっていた。



着いてみると俺一人・・・・・







空回りですか・・・・



仕方なく本を開く・・・・









頭の中はサワーの事ばかり・・・・







昨日のサワーの顔が焼き付いて離れない・・・・









俺のモノにしたい・・・・・・














サワー「おはよ・・・」




永「おはようごさいます!今日も早いんですね〜!」

カバンも置かずサワーは俺の前の席に腰を降ろした。







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