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木手永四郎専用部屋(短編)
救世主2007/05/14↑(後編)編集8/23
次の日からあたしと木手は一言も喋らず、目を合わせることもなく、ミスしても怒られる事もなくなった。









もうこんな生活止めてしまおうか・・・・





実家に帰った方がいいんじゃないか・・・・







そう思い始めていた・・・・








木手は相変わらず、目も合わせない・・・・







これ以上一緒にはいられない・・・・・








あたしは逃げたい一心からお店の女の子の家を泊まり歩くようになった。





もう2週間まともに家には帰ってない。








見かねた一人の女の子がルームシェアーの話を持ちかけて来た!

あたしは迷いもなく・・・
木手の気持ちなんて考えもせずOKした。



次の休み木手がいない時間に荷物を運び出した・・・。




最後の荷物を手に玄関を開けると帰ってこないはずの木手と鉢合わせしてしまった。

「あの・・・お世話になりました。出て行きます」

深々と頭を下げた。

久しぶりに見上げた木手の顔は酷く疲れて見えた。

「そうですか・・・仕事はちゃんとしてくださいね」

冷たい一言・・・
胸が痛かった・・・・



荷物を抱えてその場を後にした・・・。









1ヶ月が過ぎた・・・。







あたしは木手の姿ばかり目で追うようになっていた。
今頃こんな気持ちになるなんて・・・。




もう戻れない・・・・








話すこともない・・・・









一緒にいた日々が心で繰り返しフラッシュバックする。






よく考えれば酷く怒られた日、帰宅するといつもテーブルにはあたしの好きな甘いものが置かれていた。




朝帰りした次の日ゴミ箱にはケーキが捨てられていた。
その日は2個・・・
きっと二人で食べたかったのかも知れない・・・・





木手の優しさにあたしは気づかなかった。









今頃気づいてももう遅い・・・・・






ガチャ〜〜〜〜〜〜ン!!!!!!!






こんな気持ちで仕事していたためかたずけの最中グラスを落としてしまった。



「申し訳ありません!」

慌てて破片を集める・・・

無数に散らばったガラス・・・・







ザクッ!!!!
「イタッ!!!!」






ボタボタボタ・・・




慌てるあまり尖ったグラスが手のひらに刺さった。


あたしなにやってるんだろう・・・・







物音に慌ててキッチンから出てきた木手は目を疑った。
あまりに大量の血・・・

ボー然としている従業員。



自分のネクタイを外し手首を絞める・・・。
手のひらをタオルで巻くと胸よりも高く上げさせ抱き上げた。

「しっかりしなさい!」

かたずけを任せ裏口からタクシーに飛び乗る

「OX病院まで!急いでください!」

あたしは血の気も引き意識を手放しそうだった・・・・


「ゴーヤー?ゴーヤー!!」

木手の声に答えたいが身体の震えが止まらず声も出ない。
木手にもたれかかったまま病院へ・・・・
絶えず木手はあたしに声をかけ優しく励ました。

「ゴーヤー!もうすぐ着きますからね!」








病院に着いた頃には白かったタオルも赤く染っていた・・・・






「おつりはいりません!」
そう言って叩き付けた一万円札・・・・

店からは数百円のはず・・・
木手もかなり動揺していたに違いない・・・・




あたしを抱き上げ救急の入口へと駆け込んだ・・・





ストレッチャーに乗せられ処置室へと向かう。



「ここでお待ちください!」

木手は廊下の壁に持たれその場に座り込んだ・・・・







一時間後ようやく扉が開いた・・・







「中にどうぞ!」
看護師にそう言われ中へと入ると、顔色は白く手は包帯をグルグルに巻かれ眠っているゴーヤーの姿・・・。



先生「5針縫いましたが、傷はかなり深いので跡が残ると思います」

永「そうですか・・・」



ゆっくりと髪を撫でる・・・・
目が覚めたら帰っていいとの事・・・・

木手はゴーヤーの白い顔を撫でながら目が覚めるのを待った・・・・










なんかふわふわする・・・・





ココどこ?








ゆっくりと目を開くと心配そうな木手の顔が目に映った。


木手の瞳は優しくて今まで見たことないくらい澄んでいた。
真っ直ぐにあたしを見つめる。

永「ゴーヤー?わかりますか?」


黙って頷く・・・


永「よかった・・・帰りますよ!」



優しく抱き起こされた。
看護師さんに手を固定してもらいフラフラと立ち上がる。

永「捕まりなさいよ!」

差し出された腕に捕まりゆっくりとタクシーに乗り込んだ・・・。






店へと向かう車内・・・・

クラクラする頭・・・・


木手に肩を抱かれ引き寄せられる・・・

木手の厚い胸板に持たれ、力強い鼓動に心が高鳴った。



永「グラスを割るなんてキミらしくもない!」


「すみません・・・」


永「あまり俺を驚かせないでください!」



「はい」



永「グラス代はきっちり払ってもらいますよ?」





久しぶりの厳しい木手、でも怒られる事が嬉しくて仕方がなかった・・・。


「はい」





永「その手じゃしばらくは何も出来ませんね」

確かに・・・・


「はい・・・」

また迷惑かけてる・・・




永「ゴーヤー!戻って来てくれませんか?」


「え?」



思いがけない木手の言葉・・・

永「その手では生活もままならないでしょう?」



こんなあたしにまた手を差し伸べてくれる・・・・・



永「キミがいない部屋は静か過ぎるんです・・・」



また甘えていいの?

あたし自分勝手すぎない?


「店長・・・そんなに優しくしないでください・・・・」



木手はあたしをどんな風に思っているの?

怖くて確かめられなかった気持ち・・・






永「好きな女に優しくするのは当たり前でしょう?」



耳を疑った・・・
あまりに率直に言われたものだから・・・



「嘘・・・・からかわないでください」


永「俺は冗談でこんな事いいません!キミだってよく分かっているでしょう?」




沈黙・・・
なんて答えていいか分からなかった。

胸がいっぱいで・・・・


言葉が出てこない・・・





永「俺の気持ち・・・・迷惑ですか?」



慌てて首を振る・・・





永「じゃぁ・・・ずっと俺の傍にいなさい!」









タクシーは店に着き木手だけが降りた・・・

永「まってなさい!」


数分後あたしの荷物を持ち木手は戻ってきた。

タクシーは走り出し木手のマンションへと向かった。







帰りたくても帰れなかった部屋・・・・







永「少し横になった方がいい」


木手のベッドに横になる・・・
初めてこの部屋で目を覚ました時の事を思い出した・・・。

木手の臭いのする部屋・・・・


永「サワー・・・・・」

初めて名前で呼んでくれた・・・・
ベッド脇であたしを見つめる大好きな・・・


「店長・・・」
いつもの癖で・・・・



永「家で店長は辞めてください!」

「つい・・・・」


永「永四郎でいいですよ!」


「永四郎さん・・・」


永「結構ですね!」


照れた顔であたしの髪に手を這わせる・・・




永「眠るまで傍にいます」


「てn(じゃない)・・・永四郎さん・・・・あたし・・・・これからは迷惑かけないようにします。」

今までの自分勝手を誤りたかった・・・



永「迷惑だなんて思ってませんよ!ただ・・・」


「ただ?」



永「朝帰りは止めてくださいね!寂しいですから・・・」



寂しい・・・・そんな言葉が聞けるなんて・・・


「はい・・・」





永「サワー・・・・俺の事好きですか?」


「え?」



永「サワーの口からまだ聞いてません・・・」



そうだった・・・

はっ・・・恥ずかしい・・・・





「好きです・・・」


小さな声で・・・



永「聞こえません!もう一度!」



「好きです・・・・」





永「もう一度・・・」




「何度も言わせないでください・・・」





永「何度も聞きたいんです!やっと聞く事が出来たんですから!」




そう言って木手はあたしの隣に身体を横たえた・・・・



腕枕され顔が近い・・・・・



包帯の巻かれた手をゆっくりと持たれ木手の腰に・・・・・



永「痛くないですか?」



「はい・・・」



ゆっくりと抱きしめられる・・・




早い木手の鼓動・・・・・・





暖かい木手の身体・・・・・









永「サワー・・・・俺はずっと好きでしたよ!キミを助けたあの時から・・・・」



「え?」


永「うちの店に来た時は運命だと思いました。キミがこの家に来てくれて幸福でした。でもキミは出て行ってしまった。引き止めたかったんですよ本当は・・・・」



「なんで止めなかったんですか?」



永「あの時サワーの心は俺の方を向いていなかった・・・違いますか?」




確かに・・・・
あたしが木手を意識し始めたのは出て行ってから・・・・


永「だから止められなかった・・・・もう離しませんよサワー・・・・」





顔を上げるとゆっくりと木手の顔が近づいて・・・・・






触れるだけの優しいキス・・・・・








木手の腕の中いつの間にか眠りに着いた・・・・・・









おしまい
・・・・・・・・・・・
長っ!変な終わりかたε=(。・д・。)フー
すみません!すみませんペコm(_ _;m)三(m;_ _)mペコ


ここまでお付き合いくださったゴーヤーサワー様ありがとうございましたm(_ _"m)ペコリ

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