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木手永四郎専用部屋(短編)
救世主2007/05/14↑(前編)編集8/23
初めての一人暮らしに電車通勤。


平凡だけどそれなりの生活が始まった。




初出勤の朝満員電車に揺られる・・・。







苦しい・・・




タダでさえ155cmしかないあたし・・・

周りはおじさんばっかり・・・




ドアの近くに立っていた・・・




潰されそう・・・






こんなに電車が大変だとは・・・・









ん?









んん?










なんか触られてる?









気のせいだよね・・・









これだけ混んでるんだもん・・・・・








ナデナデ









ん?










ぎゅ〜〜〜









ち・・・・







ち・・・・









ち〜〜〜〜〜〜か〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん?










真後ろのスーツの男が揺れるたびに身体を摺り寄せてくる・・・
手があたしのおしりに・・・・・

微かに聞こえる男の吐息・・・・





一気に鳥肌がたつ・・・・・・・・








どうしよう・・・・








怖い・・・・・








逃げられるわけもない・・・・








気持ち悪い・・・・









誰か・・・・・

















声を出す勇気もない・・・・








男はあたしが黙っている事をいいことにドンドンエスカレート・・・・・





やだ・・・・





やだよ・・・・・・








もういい加減耐えられなかった・・・

最寄り駅まではまだしばらくかかる・・・




誰でもいい・・・




助けて・・・・・



電車が揺れた瞬間、目の前に立っている人
のシャツを必死に掴んだ・・・





涙目でその人に助けて・・と小さい声で言った・・・・






背の高いその人はあたしの表情を見るなり優しい声で囁いた・・・


「少しづつこっちに着て下さい。」

そう言って隙間に手を押し込み、守るようにあたしの肩に腕を回した。







キキイ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜








電車が駅に近づきブレーキがかけられた・・・





一瞬出来た隙間・・






ぐいっ!!!!!








その人はあたしを抱き寄せた・・・・




ドア横の角にあたしを入れると自分が他の人を寄せ付けないように立ちはだかった・・・。





「大丈夫ですか?」


安心して涙がこぼれた・・・




「泣かないでください!俺が泣かせてるみたいじゃないですか・・・・」


その人は困った顔をした。


「すみません・・・。」






プシュ〜〜〜〜
ドアが開きOO駅〜!

アナウンスにハッとした。

「降りなきゃ!!!」


慌てたあたしをその人は押し出してくれた・・・・





降りた瞬間ドアが閉まった。

振り返るその人と目が合った。
ニッコリと微笑むその人・・・・

あっという間に電車は走り去ってしまった。










あたしお礼も言ってない・・・・・









朝からこんな事があり何とか会社には間に合ったものの憂鬱だった。



帰りも満員電車・・・
またちかんいたらどうしよう・・・
女性専用車両なんていっぱいで乗れなかったし・・・。







帰りのホーム何本も電車を見送った・・・
また助けてもらえるとは限らない。そう思うと足が進まなかった・・・




でも帰らないと・・・

次の電車に乗ろう!
意を決して次の電車を待った。


ホームに電車が入りドアが開く・・・




後ろから押し寄せる人に揉まれ乗り込んだ・・・




車両の真ん中今度こそ逃げ道はない・・・








電車は走り出した。
息苦しい・・・朝の出来事が頭から離れない・・・





ギュウギュウ・・・・





「ハアハア・・・お嬢さん・・・綺麗だね・・・・」
後ろから生暖かい息が耳にかかる・・・。






なんであたしだけこんなに狙われるのよ・・・・・・




悔しくて涙がこぼれた俯いて我慢するしかなかった・・・。

誰か・・・・








助けて・・・・・








「ハアハア・・・お嬢さん・・・」
調子に乗るオヤジはあたしに固いものを押し付ける・・・




手が前に回って腰を捕まれた・・・・







大声で助けてって言えたらいいのに・・・


次の駅で降りよう・・・









駅に着きドアが開く・・・・

降りようとしたが・・・・・・









「逃げるの?」
オヤジはあたしを放してはくれなかった・・・
そればかりか、あたしの前に回り混んでる事をいい事にやりたい放題・・・・






見て見ぬ振りの周り・・・・








次の駅・・・・









また次の駅・・・・








あたし・・・どうなちゃうの・・・・


「イテテテテテテテ!!!!」

オヤジの手が捕まれ上に上げられた・・・・。

「いい年して恥ずかしいと思わないんですか?」


オヤジの斜め後ろから手を掴みあげている・・・・・





駅に着き引きずりおろされた・・・
「キミも来なさいよ!」
そう言われてホームに降り立った。

涙を拭き見上げると今朝の人・・・・

駅の警察に突き出し調書を取られる。
「俺は何もしてないぞ!」
悪あがきするオヤジ・・・

「俺は見ました!」
そうはっきり言う・・。


一通り終わって警察を出る。
「あの・・・ありがとうございました。2回も助けていただいて・・・」

「構いませんよ。でもキミももう少し抵抗しないといけませんよ!」

「はい・・・」

その人はそのまま人ごみに消えてしまった。

名前聞いてないや・・・・・


「ゴーヤーさん!」

振り返るとおまわりさん!

「よかったね助けてもらって!」

「はい!あの・・・名前も聞けなくて・・・お礼したいのに・・・」

おまわりさんはあたしにメモをくれた。



木手永四郎さん・・・

電車男みたいにエOメスのカップでも送るべきか?


そんなお金ないし・・・・・




何を送っていいのかさっぱり分からなかった・・・・






モヤモヤとしたまま時間だけが過ぎていった・・・・。









一週間が過ぎたある日部長に呼ばれ会議という名の食事・・・

断れば首になりかねない・・・・


琉球料理の店に入り仕事の話をしながら食事・・・



こんな人と食事しても美味しくない・・・




ハゲ・・・・






「ゴーヤーさん彼氏いるの?」

「え?」

「いやなんとなくね!」

「あっあの・・・・」


「いい話があるんだよ!」

「はい?」

「一ヶ月+30万でどうかと社長が言ってる・・・給料もそれなりに出すそうだ。今の部署から社長秘書!どうだ悪くはないだろう?」

「困ります・・・」


「断れば俺もやばいんだよ・・・頼む!」

「困ります・・・」


「もうすぐ社長が来るから!」

そのために呼び出されたんだ・・・・
あたしこのまま愛人コース?
断れば首・・・・?
なんであたしだけこんな目に会わなきゃいけないのよ・・・
追い詰められどうしょうもなくなってしまった・・・。


社長が到着して挨拶もそこそこに品定めされる・・・。


社「写真で見るより綺麗だね。話は聞いてるんだろ?断れば・・・・分かってるよね?」

「困ります・・・・」


もう泣きそうだった・・・・
「すみません帰ります。」
急いで席を立った、社長も席を立ちおってくる。

店の前で腕を捕まれ・・・・
「OKしてくれるよな?」
とタクシーに乗せられそうに・・・・



ガラッ!
店のドアが開いて・・・



ガシッ!
「どこに行くんです!」

社「店長〜邪魔しないでよ〜金は払ったでしょう?」

「木手さん・・・」

永「社長!その子を放してもらえますか?」

社「この子はうちの・・・」
言いかけた社長に構わずあたしを引き離した。

引っ張られた反動で木手の胸に飛び込んだ。

永「俺の女に目をつけるなんて社長も御目が高い!でも譲るわけにはいきませんね〜」


見上げた木手の目は優しくて透き通った綺麗な黒・・・・

社「チッ!仕方ない・・・・」

社長はそのままタクシーに乗り帰って行った・・・・



部長は「首!」と吐き捨てて帰って行った・・・。




逃れられた安心感と失業してしまった絶望が押し寄せて、その場に座り込んだ。明日からどうしよう・・・・。
頭がクラクラして気が遠くなった・・・









バタッ!






永「はぁ〜〜〜〜余計な事をしてしまいましたかね〜!しっかりしなさいよ!」











目を覚ますと知らない天井、知らないベッド、ココドコ?






誰かの部屋・・・








シャーワーの音・・・・







まじココドコ?









あたしやばくない?








誰かに拾われた=逃げなくちゃ!






幸い携帯も鞄もある!
薄暗い部屋の出口へと物音を立てないようにそ〜っと・・・・





廊下を進んで玄関まで来た。靴もある!







(((((っ−_−)っ ソロリ ソロリ








「ドコに行くんです?」





「きゃあああああああああああああああああああああああああああああ!ごめんなさい!ごめんなさい!勘弁してください!まじ何にも覚えてないんです!ホントにすみません!!!」


思わず床に土下座した。









クスクスクス・・・

「キミは面白いですね!」

顔を上げると木手が笑いながらこっちを見ている。


「あっ!」

「すみません!なかなか目を覚まさなかったので連れて来てしまいました。」


「あの・・・あたしゴーヤーサワーと言います。何度もご迷惑ばかりかけてしまってすみません・・・」


「いいから早く来なさいよ!後で送ってあげます!」


髪を拭きながら部屋へと向かう木手の背中を追いかけた。
それからソファーに座り、木手が入れてくれたコーヒーを飲みながら色んな話をした。
木手は静かにあたしの話を聞いてくれた。



永「これからどうするんですか?」

「え?」

永「仕事ですよ!」

そう言われて一気に血の気が引いた。
俯くあたしに木手はまた救いの手を差し伸べた。


永「キミが迷惑でなければ、俺の店で働きますか?」

「でも・・・こんなに迷惑かけておいてこれ以上・・・」

永「丁度スタッフを増やそうと思ってたんですが・・・嫌なら他の人を雇います!」

「嫌じゃないです」

永「なら採用します!ただ給料は安いですよ?」

「どのくらい・・・ですか?」


永「時給1000円!一人暮らしするには少しキツイかもしれませんね・・・」


「・・・・」

永「ココに住みますか?家賃はとりませんよ!部屋もあいてます」

「えっ!!!ええええええええええええええええ!!!!!!!」



永「嫌ですか?まあ彼氏がいるなら嫌ですよね・・・」



どどどどどどどどど・・・・どうしよう・・・・・



でも仕事も見つかって、家賃も要らない、しかもこんなにイケメンと住める!
願ってもない話じゃないか・・・


喰らい付いてもいいのか?



「ホントに?本当にいいいんですか?彼女と鉢合わせとかないですか?ご迷惑じゃないですか?」




永「俺は冗談でこんな事は言いません!彼女もいませんし!君さえよければどうぞ!」


「ホントに転がり込んじゃいますよ?」


永「成立ですね!」










こんなありえない展開であたしは人生の崖っぷちを乗り越える事ができた!






数日後少ない荷物を持って引っ越した。
6畳にクローゼットあたしには十分!


永「鍵!仕事は明日からで構いません。家の物は自由に使ってください!」

「はい!」

永「よろしくお願いしますよゴーヤーさん!」

「よろしくお願いします!」









次に日から店のホールで必死に働いた、店での木手は別人で厳しくあたしは怒られて泣く事もシバシバだった。

毎日怒られていると、気まずくて家に帰るのも気が引けた。


また迷惑ばかりかけている・・・。








「カラオケ行かない?」
バイトの女の子に誘われあたしは喜んで出かけた。

朝まで何も気にしないで歌いまくった!
お酒も入ってテンションは上がりっぱなし!



AM6:00

いい気分で玄関を開けると・・・・・









鬼のように怒った木手がいた!!!!








永「こんな時間までどこに行ってたんです?」

酔っ払ってた・・・・
かなり飲んでた・・・



なんて言い訳にもならないか・・・


言ってはいけない事を言ってしまった・・・。

「店長には関係ないでしょ?」








バシッ!!!!!!







一気に酔いが冷めた・・・・・








そのまま無言で部屋に逃げ込んだ・・・



永「俺の気も知らないで・・・・」

そう聞こえた気がした・・・


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あきゅろす。
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