木手永四郎専用部屋(短編)
1/09↑
永「サワー・・・俺と付き合ってくれませんか?」
「ヤダ!」
永「サワー・・・俺と付き合ってくれませんか?」
「ヤダ!」
永「サワー・・・気が変わりましたか?」
「変わらない!」
永「サワー・・・?」
「嫌だ!」
こんなやり取りがもう何ヶ月も続いている。
あたしと永四郎は小さい頃からの幼馴染。
家は隣同士、ホントに小さい頃から仲良しだったから、一緒にお風呂入ったり、同じ布団で寝たりして大きくなってきたから、今さら男として見れるわけがない・・・
永四郎はいつも穏やかな顔であたしの答えをいつかYESに変えて見せると言ってた・・・・・・
懲りずにいつも隣にいる永四郎・・・・
永「サワー?」
「なに?」
部活が同じ時間に終わる為当然帰り道も一緒。
また同じ事会話をするもんだと思ってた・・・
永「今日一緒に宿題しませんか?」
「(゜Д゜) ハア??」
小学生の頃はよく一緒に宿題とかしてたけど、もう中学生ですよ?
永「サワーが俺を男として見れないのはよく分かっています。もう無理は言いませんから・・・ねっ?」
「分かった・・・・・」
永「じゃぁ俺の家に着がえたら来なさいよ」
いつもにも増して穏やかな顔だった。
「うん・・・・」
着がえたあたしは鞄を持って永四郎の家を訪ねた。
おじさんやおばさんの姿はない、静まり返った家。
久しぶりの永四郎の部屋は以前とは少し違って見えた。
お互い教科書を開き無言で宿題を解く。
「永四郎・・・ここ教えて?」
永「ここは・・・・・・」
必要な会話以外はしない・・・・
暗黙の了解とでも言うのかな・・・・・
二時間ほどで宿題を終えノートをしまうとあたしはそのままつい昔の癖で床に寝そべった。
部活の疲れもあってそのままウトウトと眠ってしまった。
ふっと目を開けると目の前には比嘉シャツ・・・大きくはだけた制服から小麦色の肌が覗いていた。
いつの間にかベッドで永四郎の腕枕・・・
背中には永四郎の腕・・・・
伝わる心音・・・・・
子供じゃないんだ・・・・・・
いつまでも子供のままでいるわけじゃないんだ・・・・
永「サワー・・・・・」
「・・・・・・・・」
永「このまま、泊まっていきなさいよ。」
「・・・・・・・・」
永「何もしませんよ・・・・」
「・・・・・うん・・・・・・・」
この温もりを他の女に知られたくない・・・
幼馴染だからって決め付けて、ホントに大事な人を失いそうになってた・・・・。
馬鹿だなあたし・・・・
でも今さらなんて言えばいい?
気が変わったの!なんて言えない・・・・・
ねぇ・・・・永四郎・・・・・・
無意識に永四郎の胸に顔を埋めた・・・・・
永「サワー・・・・・」
ゆっくりと背中を撫でる大きな手・・・・・
「永四郎・・・・あのね・・・・・」
永「・・・・・言わなくても分かります」
「?」
永「サワーの事は何でも分かりますよ。」
「ゴメン・・・・」
永「・・・・構いませんよ・・・・・」
戻れない階段を登り始めた日。
END
[前へ][次へ]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!