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木手永四郎専用部屋(短編)
チョコ 2/12↑
「すみませんが・・・・俺は好きな女以外からのチョコレートは貰わない事にしてるんです。」









毎年同じクラスの木手はこうやってチョコレートを全て断っている。
誰かのチョコを貰ったという話は過去に聞いたことがない・・・・
噂では遠距離の彼女がいるとか、年上の彼女がいるとか・・・・どれも定かではないけど・・・・









あたしは今年勝負に出る!
必死に考えて不器用なりにチョコを溶かして。
何度も失敗して弟にはもうやめろとまで言われてしまった・・・・(失敗作は全部弟行き・・・)





お世辞にも綺麗とは言えないラッピング。
選びまくった可愛い紙袋に入れた。








2/14の学校はチョコの臭いで充満していた。
あたしは本命一個!
義理なんて渡さない主義なんだ!!!
友達の付き添いも断って隣のクラスへと足を向けた放課後。









「・・・・・・・あの・・・・・これ・・・・・貰ってください・・・・・」

好きとかそんな事言えるわけない。
渡すのがやっとだった・・・
差し出した手が震える・・・・・早くなんか言ってよ・・・・・



















「悪い・・・・貰えない。彼女に悪いから・・・ホントゴメン・・・・」











惨敗・・・・・・・
ε-(ーдー)ハァ







もう二度とチョコなんて作んない!!!
なんか頑張った自分が惨めに思えて胸が痛かった。


堪えてた涙がポタポタと落ちる・・・
チクショー((o(>皿<)o))
帰り道に寄った堤防で、紙袋からチョコを出すと思い切って捨てようとした、自分の思いも全て捨てて綺麗さっぱりしたかった。












ガシッ!!!










掴まれた手首。

「ソレ・・・捨てるんですか?」






振り返るとそこには同じクラスの木手の光る眼鏡。
固まったまま呆然と立ち尽くした。
何で木手がココにいるの?



木「ゴーヤーさん?」

「え・・・・」

木「捨てるなら・・・俺にくれませんか?」

「・・・・・・・・コレ?」

木「ええ・・・・どうせ捨てるんでしょう?」

「うっ・・・うん・・・・・」


あたしはチョコを手渡した。
木手は黙ってラッピングを剥ぐと不恰好なチョコを口に入れた・・・・・


木「・・・・・・・・」

「美味しくないよね・・・・」

木「嫌いじゃないですよ・・・(微笑)」

「何ソレ・・・意味わかんないよ・・・」

木「・・・・・・・・」

「木手はチョコ貰った?」

木「俺は好きな女からしか貰わない事にしてるんです。」

「ふ〜ん」

木手は黙ったままあたしを見下ろして、またチョコを口に運んだ・・・・

「不味いないなら食べなきゃいいじゃん!」

木「・・・・ゴーヤーさん・・・不味いとは言ってないでしょう?」

「じゃぁ美味しい?」

木「・・・・・好きな女が作ったものは美味しいですよ」

「・・・・・・・・・」

木「まだ分からないんですか?」

「(゜Д゜) ハア??」

木「まさか自分がバレンタインに、こんな事言うなんて思っても見ませんでしたよ・・・・」


「だから意味わかんないって・・・・」


木「ε-(ーдー)ハァ・・・・だからキミのチョコが欲しかったんですよ俺は!」


「・・・・・・・・・・・・」

あたしは上手く理解できずにポカンとしていた。
だってバレンタインは女の子から男の子に告白する日だよね?
木手は毎年「俺は好きな女以外からのチョコレートは貰わない事にしてるんです。」って言ってて・・・

あたしは振られてチョコ捨てようとして・・・木手が捨てるならくれませんかって・・・んでどうぞって・・・





(・_・o)ン? (o・_・)ン? (o・_・o)ン?








どうぞってあげた・・・・・・








「俺は好きな女以外からのチョコレートは貰わない事にしてるんです。」
「俺は好きな女以外からのチョコレートは貰わない事にしてるんです。」
「俺は好きな女以外からのチョコレートは貰わない事にしてるんです。」




頭の中で木手の声がこだましてる・・・・・









「ε-(ーдー)ハァ・・・・だからキミのチョコが欲しかったんですよ俺は!」

「ε-(ーдー)ハァ・・・・だからキミのチョコが欲しかったんですよ俺は!」

「ε-(ーдー)ハァ・・・・だからキミのチョコが欲しかったんですよ俺は!」












木手があたしのチョコ欲しかった・・・・?







木手チョコ貰う=木手の好きな子







( ´△`)アァ-そういう事!









ハッΣ(゜ロ゜〃)









木「やっぱり気付いてなかったんですね・・・」

「・・・・・・・・」

見上げた木手の顔は学校では見たことないくらい優しくて振られたばっかりなのに・・・・・・
あたし・・・・・・








ゆっくりと近づいた木手の顔があたしの真横に止まる。
木「見る目のない男なんてさっさと忘れて俺を好きになりなさいよ。」





木手は姿勢を戻すとニッコリと微笑んでこっちを見てる。








「でも・・・・「NOはなしですよ?」」
あたしの返事を遮って木手は意地悪そうに笑って・・・・あたしに選択肢を与えない・・・・・・・




「だって・・・・」






木手のことあんまり知らないし・・・・・
混乱する頭・・・・












ぎゅっ・・・・・・・







木「強情な女ですね・・・・」







堤防で抱きすくめられて、木手の体温が伝わってきて・・・・・
あたしは強制的に恋に落とされた・・・・・










END


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