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木手永四郎専用部屋(短編)
独り×独り 7/31↑
あの日から7年、貴方との思い出は少しづつあたしの中で薄れていく。
もぅ貴方の顔も上手く思い出せない… 幸せだった時間は確かにあった、でも貴方を待つ寂しさでその幸せだった時間も思い出せない。

孤独に耐えきれなかった、帰らない貴方からの連絡を待ったまま朝を迎える日々、冷めた料理を捨てる瞬間 寂しさに襲われて何度も涙を零した。
早く帰った日もあまり会話はない、貴方が笑わなくなった事が辛かった…
疲れているせいだと思って耐えた数ヶ月、気が付けばあたしの心には大きな穴が空いて真っ直ぐに貴方を見れなくなった…

冷たい雨が降り始めた日の夕方、夕飯をテーブルに並べたけど、きっと今日も貴方は帰らない…
そんな気がした、虚しさと情けなさと孤独で限界だと思った。

ほんの僅かな荷物をまとめる間涙は出なかった…

きっと貴方はすぐに戻って来てくれと言ってくれて、優しく笑って迎えに来るってどこかで期待してたのかもしれない。


友達の家に居候させて貰う事にした。

『ごめんね。無理言って』

「ぬーが!気にする事ね〜らん、好きなだけいたらいいさ〜その代わり飯作ってくれるば?」

『うん、嫌いな物ある?』

「ゴーヤ!」

『了解』


凜とは学生の頃バイト先で一緒だった、お互い相談したり、色んな話も出来る兄弟みたいな関係。 チャラチャラしてる見かけとは違い本当に優しい。

凜の家に来て3日目、永四郎からの連絡はない。携帯を気にするあたしを心配する凜…

「サワー、そんな酷い野郎なんか捨てて正解さ、な?長い人生笑ってたいあんに〜」


「うん、」

返事をした所で携帯が音をたてた、永四郎の着信音… 怖くて出れなかった。
嬉しかったけど、3日たっての電話で永四郎にとってあたしはそんなものだったのかと凹んだ

何度着信が入ろうと、出る事はしなかった。
あたしの中ではもう終わった事だと思ってた
























7年、色んな事があった、恋愛もして沢山の人と出会い少しは大人になった。


あの人を思い出す事はもうないよ・・・












冷たい雨が降る冬の夕方、やまない雨に深いため息を零して傘を忘れた事を悔やむ、家まで直ぐだと駅の軒先を鞄を抱え早足で出た。
家まで5分、急げば3分位で着くはずだ、サラリーマンの傘を追い越して急ぐ、一人の背中が目に留まるが気にせず追い越した。




その背中を二、三歩追い越した所で腕を引かれる、思わず振り返ればその人は悲しい瞳であたしを見つめていた。



『サワー、』

「・・・・・・永四郎」

冷たい雨が方を濡らす、重い沈黙に言葉が出ない
目を見ることも出来ず俯く、どうしてまた出会ってしまわなければいけなかったのかと脳を過ぎる
昔の男に会うことなんてこの広い町ではないと思っていたのに・・・
7年前の別れ話でもしなければならないのか・・・
永四郎の手が理由を求めているように思えた
さっき永四郎の家を飛び出したようなそんな雰囲気


『訳を聞かせてください。』

「・・・・・・今更?」

『・・・・部屋は今もあの日のままです。』

「終わった事でしょ?」

『終わってない、俺の中では終ってないんです!』

「あたしの中ではもう終った事、昔の事なんだよ」

『・・・・今も俺は・・・』

「聞きたくない」


永四郎の腕を振り切って走り出した、なぜが胸が苦しかった、自分でも何処かで納得してないのかもしれない、姿を消した事での終りに・・・
ちゃんと別れ話をするべきだったのかな

明かりの点いた家に着く。




凛「ぬ〜が!傘忘れたんば?電話すればいいあんに〜」

「凛、、、、、」

凛「あい!どうしたんば?ぬ〜が!何があったんば?痴漢か?」

「ううん、なんでもない・・・」

凛「サワー・・・」

玄関で泣き出したあたしを凛はぎゅっと腕に包んで首筋にキスを落とす。
一度は一人暮らしもした、でもあたしはまた凛の部屋にいる・・・
毎日にこやかにあたしの話を聞いてくれる、喧嘩もするけど凛といる時間は寂しくない。
側にいて暖めてくれるのは凛なんだ、、、
今更永四郎と再会しても揺るがない。






ねぇ、また同じ事を繰り返すのは嫌なの。
あたし一人が貴方を思うのはもう嫌なの・・・
ずっと帰りを待って一人でご飯を食べるのは嫌なの
永遠にその場所に閉じ込められたみたいで、心が壊れていく

何度貴方と再会しても、笑い合う事はない。




END


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あきゅろす。
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