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ぼけつのさき
笑う、嗤う、哂う





「自殺だっ………」
 「ええ!?ぇ………白川は…」

「当然……テニス部が……」
 「綾乃ちゃん…イジメられ……」
「……!良かっ……」















ペタリ、ペタリと足音を立てて廊下を歩く。
自然に入ってくる周りの人達の言葉に目を伏せながらも、心の中で大声を上げて笑う。
ああ、可笑しい。






白川果歩…二年元テニス部マネージャーが約二週間前の休日に遺体で校庭に発見されたらしい。校庭と言っても中庭で、死体があったすぐ隣の校舎の屋上からは靴が綺麗に揃えてあったとか。自殺であることは明白。その話で今週はこの話で校内が染め上げられていて、周りの話は大体それに決まっていた。










歩いて行く私の姿を目に入れて動かしていた口をピタリと止め、非常に同情めいた顔で私を見てくる。









止めてよ。
アンタたちに同情なんてされた日には本当に死にたくなる。












その内の一人の男子生徒が馴れ馴れしく私に近付き、口を開く。

「綾乃ちゃん大丈夫?なんか泣きそうだけど…。」

ピくり、と肩を震わせながらも自力で潤ませた瞳で相手を上目づかいで見つめる。
とたんに赤くなる男子生徒。






__泣きそう?大丈夫?誰に言っているの?





「うん…。綾乃は大丈夫だけど…。
綾乃なんかよりよっぽど…か…果歩ちゃんの方っ…がっ…」




ぽろぽろと大粒の涙を流す私。ひっく、と肩を揺らすと周りにいた男子生徒が頬を赤くしていた。
綾乃、やっぱり女優になろうかしら。


「白川の事は綾乃ちゃんが気にすることじゃ無いよ!!
むしろ本当に一番辛かったのは綾乃ちゃんなんだから…。
白川にはバチがあたったんだ!!」



自殺のくせにバチぃ?
ハッ…そんなんだからいつまでも綾乃にひっついてても雑魚キャラなのよ。



男子生徒が大声を出したおかげで他の生徒も口を開く。


「そうだぜ!!綾乃が気にすることじゃ無ぇよッ!!」
「ああ、自分も嫌われるようになったから、自殺なんて手で最後は悲劇のヒロインにでもなりたかったんだろーよ。」
「アッハ!ウケる!!マジ、きっとそうだぜ!!」



アハハ!と周りの男子生徒を巻き込んで大きくなる笑い声。
口々に出てくる白川果歩の非難に上機嫌になるのが自分でも判る。


けれど綾乃は出さないよ?そんな気持ちを一かけらも。




_綾乃と深い仲になりたいんだったらもっとイイ男…利用価値のある男になりなさいな__
















「果歩ちゃんのことは悪く言わないで…!あ、綾乃が悪いんだから!
……綾乃、もう大丈夫だからもう行くね…?」


__そう。利用価値が出たら綾乃が遊んであげるよ?__


そんなことを思っているとはつゆ知らず、「優しすぎるんだよ綾乃は…。」なんて言う男共のセリフに微笑みながらも廊下を歩く。



___あぁ、愉快。




























教室に戻り、自分の席に座る。ガタリと音を鳴らしながら椅子に座った直後、女子生徒二人が私に近付いてきた。ああ可愛く無い。その髪どうにかしたらぁ?


「ねぇ、下山田サン?」
「なぁに?」



笑顔で相手に振りかえる。ね?綾乃かわいいでしょ?
アンタ達の嫉妬なんて綾乃が羨ましいだけなのよね?
綾乃はちゃぁんと解ってるんだよ?




「……っ。
二年の女子が校舎裏で待ってるって。

…ちゃんと伝えたから。」



結局一人は話さず仕舞いで金魚のフンのように喋った女の後をついて私から離れた。
ご丁寧に二人とも私を睨みながら。





…それにしても二年…ねぇ…。
年下の女が私に楯突くつもりなのかしら?
そしてお決まりのように「マネージャーやめなさいよ!!」なんて口に出して団体で私に手を出そうとするのかしら?






本当、浅はかよね。
私にはテニス部が付いているの理解しているくせに。
彼らが振り向くとでも思っているのかしら?
彼らは私のものなのに。


クスリ、と嗤い、教室を後にした。




























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