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ぼけつのさき
接触


























「あっ…」







小さな声が聞こえて後ろを振り向いた。
赤くなってきた太陽の光に反射した、ふわりとした髪は揺れてぱっちりとした瞳、いつも唇は光ってて…男子テニス部のマネ。下山田綾乃、さん。

後ろを振り向いた先には重いだろうドリンクを何本も手に持っている下山田さんがいて。よろりと傾いた体を腕を伸ばして支える。






「大丈夫…、ですか?」

「えっ…あ、ありがとう…!ご、ごめんねっ」



少しばかり赤くなった下山田さんはこちらを見上げてにこり、と笑う。支えた時に近づいたからか甘い香りが俺にも移る。
俺より下山田さんの方が小さいからなのか見上げる目が上目づかいになっていて。




「いえ。でもこれは下山田さんには重すぎると、思う」



自分の足で立ったであろう下山田さんに、するりと手を離して下山田さんのドリンクを持つ。
あ、重い。あれ、部活終わるのに何で重いドリンク、?そう思いながらもそのドリンク下山田さんから持ったらぱっちりとした瞳がまた大きく広がって、その後その瞳はゆっくりと細められた。
…、綺麗な人、だな。




「ありがとう、櫻井くん」

「……、俺の名前知ってた、んですね」

「えっ…?テニス部のマネだもん、当然だよ!」

「そうですか」

「うん!」





よく笑う人だ。
するり、と前を向いて下山田さんとともに部室に向かう。
自分の長めの髪が邪魔で良く見えないがまぁ感覚で何となく進めるだろう、うん。そう思ってスタスタ歩く。
こんな沢山のドリンク、よくレギュラー陣が持たせたな…。




「こうやって櫻井くんときちんと話すの初めてだねー」

「はい、…俺も部活入ったばっかり、ですし。」

「そうだったね、」



クスリ、と後ろで笑う音が聞こえた。
確か以前会ったのが初めて顔を合わせた時だと、思う。部長に挨拶してその後マネージャーにも挨拶して。随分と可愛いマネージャーがいるんだなー、と思いながらも挨拶したのは覚えて、る。その時は簡単に挨拶した気がしたけど特別話す事もお互い無かったし今まで話す機会も無かった。

周りのテニス部(平部員)達は下山田さんと話そうとか何となく努力していたやつも一部では居た、気がする。俺はそう言うの良く判らない、けど。






「テニス、順調?」

「まだまだ、です。」



急に声を掛けられて飛ばしていた思考を戻す。
そう言えば早く戻らなくては。部品片づけに来たはいいものの、もう全体ではダウンが始まっている。遅れて一人でダウンするのは…、…。ま、それでも、いいか。



こっくり、自分で自分自身に頷く。
何か、後ろで下山田先輩が頭を傾けてたってした気がするけど、気にしない。
あ、何かコートの方騒がしいな…




「頑張ってね、櫻井くん毎日頑張ってるしきっとすぐに上手くなるよ」





騒音を気にしながらもスタスタと歩いていたのでもうすぐ目の前は部室、そんな状況で言った下山田さんの一言。
………、
下山田さんって平部員用のコート、居たっけ


ことり、と頭を傾かせたが、にこにこ笑って下山田さんが言うものだからこっくりとうなずいて「ありがとうございます」と、言っておいた。




















































…つまんない。













正直その一言に尽きる。


ゆらりとスカートを揺らしながらも校門へと向かう。
もちろん途中で挨拶してくる綾乃の雑魚キャラ達に笑顔で「ばいばい」なんて言いながらも考える。

普通すぎ。かっこよくない。魅力を感じない。むしろ地味。




「はぁ…」





いくら綾乃が思い描いたような召使雪チャンの思い人でもその想い人まで面白いとは限らないかぁ…、まぁ元々顔から何となく性格も予想付いてたけど。
唯一ポイント高かったのは綾乃に興味を持たなかった感じ、かなぁ。平部員の大半は綾乃の事好きって言うのは綾乃知ってるし、平部員だったら自然と綾乃のいい情報は流れこんでくるはず。…まぁ一部は除くけど。たしか櫻井くんはそいつらとは接点は無かったはずだし、そもそも彼の性格上自ら近づきそうなタイプじゃないからそこは平気として、まぁそんな状況下な櫻井くんが綾乃に興味を示さなかったのはある意味面白いけど。




うーん…でも綾乃、もちろん綾乃自身が可愛いって言うのは当然の如く知ってるんだけどね、この世界中の人間が綾乃を可愛いって言ってくれるとは思っていないのよね。
ま、ただそれは見る目無いなぁ、なんて思うけど。結局は綾乃が落とそうと思えば落とせると思うし。



でも、全く興味がない。と言うか雪チャンの思い人じゃなければ絶対に近づかないようなタイプなのよねぇ。もっさいってこんな感じなのかしら?
綾乃、綾乃のこと好きな人はある程度好きだけど綾乃の事嫌いな人は大っきらいなの。




だから櫻井くんが綾乃に好意を示してくれないから綾乃もテンションが上がらない訳で。








コツン、と校門前にあった石を蹴ってみる。
迎えの車が遅い。…何やってるのよ、綾乃を待たせるなんて馬鹿すぎじゃないの?




コツン、





コロコロと石が転がる。







こんなんだったら景吾に乗せてもらうんだった。
でも今日は日誌とかで遅くなるかもしれないって言ってたし…うーん…








「はぁーあ、何か面白いこと無いかなぁ」







泣き叫ぶとか、血まみれになる、とか歪んだものが無いとつまらない。
やっぱり雪チャン、何時も通り苛めた方がいいのかなぁ、







そんな事を思いながらも、赤い空を見上げた。
空にはもう、星が出ていた。























































ごめん…凄く雑に今回書いちゃったかも…!
櫻井尚人:三年平部員。夢主の思い人。天然、ネジずれてる感じ。「、」の多いしゃべり方。無造作ヘアと言おうと思ったら言えることもないような髪型。



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あきゅろす。
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