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ぼけつのさき
でも一番のタイプは純情スポーツ少年よ

















「あっ、片平さん」

「ぅ、あ、こんにちは篠原くん」




ペコリと頭を下げる片平さんに呼吸を正しながらも心の中で苦笑を零す。



「ぼ、僕も片平さんと同じ二年だしそんな畏まる必要はないよっ?」

「あぁ、えっと、なんと言うかこれは元々癖なんで…す、すみません!」

「いや謝らなくても…!でも…うん癖なら仕方がないよね」



手を振りながらも否定してにへ、と二人で笑う。
何だろうか、片平さんのもともとの雰囲気かと思うけど、シリアスに成らないというかいつでもお茶飲めそうなほのぼのな雰囲気になるのはなぜだろうか。
ハッ…と息を吐きながらも周りを見ると周りもそろそろとこちらに戻ってきて。
とうに部活は始まって早速のランニング。ランニング、ストレッチ、ダッシュ、そしてラリーとなってそこから具体的な練習、となるのがいつもの練習の順序で。もちろん平部員とレギュラーは違うメニューだけど。
今日は早めに走り終わったな。



「あっ…遅れましたがお疲れ様です!ハイ、タオルとドリンクです。」

「あ、ありがとう片平さん!」

「いいえー」


へにゃりと笑いを零しては周りの部員にもタオルとドリンクを配っていく。笑いながら配っているけど、その量が半端無い。見えるドリンクはカートに思いっきり高く積まれていて、そしてタオルも別のカートに積まれている。

ごくり、とドリンクを喉に通すも冷えたドリンクは僕の体をさっぱりさせて。さすが…なんて変な思いを抱えつつ、笑った。








「…あれ?」





そう小さく零した片平さんに気がついてそちらに視線を送るとそこには腰まで伸びた長髪赤髪。う、げ。
コテりと頭を一度傾かせてそちらに足を向ける片平さん。
つ、あー…僕あいつ嫌い。嫌いと言うか苦手の類だけど。いつも普通にしてればいいものを。…うん、目を合わせたら終わりだ。みるな、見たら終わりだ。何となく今日のあいつの気分はそんな感じがする。いや、同じ部活って時点で駄目な気がするけど。
そう思いながらも横目でその様子を見る。



「あの…」



そうやって手をそいつに乗っけた片平さん。髪をなびかせながらもくるりと片平さんに振り向いた…つまり僕が見える方向に振り向いたそいつはぱぁ!と目を輝かせる。


「えっ?アタシのことかな?」

「は、ハイ…あの、えっと…」


嬉々として女子に話しかけるあいつを見るのは久々だけど、その妙なテンションに気遅れしてるのか片平さんは中々話出さない。


「あ、あの…」

「ん?どうしたの?雪ちゃん。」

「えっと、あ、あの…ここのテニスコートは女性は入ってはいけないんです…け、見学ならコート外に…」














そ う 来 た か 片 平 さ ん…!!



ぴしり、と僕とそいつは体を固めて。



そして先に動いたのは、そいつ。








「聞いてゆうちゃーーーん!!!!!!アタシ女性だってぇ!」


らんランと手をふりふりと振りながらも僕に駆け寄ってきたのは、そいつ。
僕の危険アンテナはすでにびんびん。






お…







犯 さ れ る!





ザッと逃げようと足を動かすもさっきまで本当にランニングしてきたんだろうな?!と聞きたくなるような素早さでそいつは僕の肩をぐわしっ!と握って。

ぞわり、と鳥肌がたった。


「くっ来るな!僕に近寄るな!」
「あらぁ?ゆうちゃん剥がれちゃってるよぉ?って言うかあの子アタシのこと女性って!ほらねッ?!雪ちゃん、言ったよね女性って!」
お前が僕の猫被り剥がしたんだろ!?!
ぐるんっと振り向いたさきには片平さんがきょとんとしながらも立っていて。


「ぇ、あ、ハイ!」





馬 鹿 野 郎!









ザッと足音を立ててぐっと僕に顔を近づける。

「さ!ほら!いいのよゆうちゃん!今すぐここで襲っても!」

がばり、と捲りあげたTシャツにぞわわわわと顔が蒼くなるのも自分で判る。

「ばッ馬鹿言わないでよ小野寺君!」
「そんな事言わずに!ホラ!何時も言ってるでしょ?!アタシ、童顔も大好きだから!バッチコイよ!」

ずりずりと寄ってくる、赤髪のバカ。









「ふざける、な!」


小声でそいつに言いながらもガッ!と目の前にいる小野寺を片平さんに見えないようにみぞおちに拳を入れて離れさせる。「ぐぁッ!」とか言っていたけれど僕は知らない。見ちゃいけない。見ちゃいけない!






















「ってな事でこいつは小野寺 空君。こう見えても「女の子ですッ☆よろしグッ…」男の子だからね!」

ガンッと足元を踏んで言葉を正す。
そう言葉零すと片平さんはきょとんとして。


「男の方、ですか…?」

「うん、小野寺君男子テニス部のユニフォーム着てるでしょ?」

「あ、そ、そう言えばそうですね…」




女子は普通はスコートだもんな。
それにしても何でこいつにこやかなんだよ珍しい。




「で、でも髪も私より長いし綺麗だしそれにお、顔だって美人さんで…」
「うきゃぁ!雪ちゃんやっぱり良い子ね!アタシ嬉しい…!」

うりうりと片平さんの頭を撫でる小野寺の手をぱしんっとはたき落とす。

「あああ!そんなわ、私も嬉しいですこんな美人さんとお話できて…!」

ふるふると震えながらもぱしっと小野寺の手を取って見上げる片平さん。その瞳は嬉しそうに輝いている。
て、まじ?うそまじで言ってんの片平さん。どう見てもへんでしょ。こいつ「男の子が大好物です」とか公で素で言っちゃうような奴だよ?














「おい、優貴、空、練習忘れるなよ」







ピくり、と反応しながら声がした方を見ると背の高い一つ上の先輩。

「あ、優斗。はいー今やりますー!」
「はぁーいッじゃ、雪ちゃんまたね?」

「は、ハイ!ファイトですよー!」





片平さんは二コリと笑って他の部員に残ったドリンクなどなどを配り始める。他の平部員は一応ながらあいつと仲良い現場を見ているからだろう、そこまで冷たい視線を向けられずにドリンクやタオルを受取っていた。



「珍しいな小野寺が女とにこやかにしゃべるなんて。」

「うーんなんつーか興味が湧いちゃったんだよね、俺、雪ちゃんに。」



髪を一つにくくりながらも言葉を零す。さらり、と赤髪が落ちていた。




「男しか興味無いお前が?」

「うん。何となく。」


ぱちり、と長いまつげが揺れ動いた。



「へぇ…奇遇だね。僕もだよ。」

「ふぅん…ゆうちゃんもなんだ。それこそ珍しい。」







小野寺はひひ、と笑いながら地面にすわる。僕よりいつも小野寺の方が身長が大きいからこうやって見上げられるのは珍しい。




「ハイ、ゆうちゃん早く。ストレッチ。」

「…はぁ。はいよ。」




グ、と小野寺の背中を押す。こいつの思考回路何か読めないから、とりあえず笑顔でドリンクを配る片平さんを見ながら、妙に人間に気に入られやすことに疑問を覚えて。





























赤髪で髪は胸下まであります小野寺空(おのでら そら)君。姉御系なお顔立ちの平部員オリキャラその3。美人。何気にテニスは強い。

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あきゅろす。
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